難しい「しつけ」と「過干渉」の境界線
では、具体的にどのような距離感で関わればいいのでしょうか。
「献身的になりすぎてはいけない、というのは頭では分かります。でも、どこからがやりすぎ(過干渉)で、どこからが放任になってしまうのか、その線引きが難しいんです」
カウンセリングをしていると、多くの親御さんがそう吐露されます。
実際、私のもとに相談に来られる方の多くも、最初は「自分が過干渉な親だ」という自覚はありません。「子どものために良かれと思って」一生懸命やっているだけで、それが過干渉だとは夢にも思っていなかった、という方がほとんどなのです。
朝、何度も起こしてあげること。「こんな学校があるよ」と調べてあげること。スマホやゲームの時間を管理すること。
これらは「親としての責任(しつけ)」なのか、それとも「過干渉」なのか。その見極めは非常に難しいですよね。
「過保護・過干渉」チェックポイント
そこで、一つの目安となる「チェックポイント」をご紹介します。もし迷ったときは、ご自身の胸に手を当てて、こう問いかけてみてください。
【過干渉チェックポイント】
□それは、子どもから「頼まれて」やっていますか?
□それは、子どもが「経験する機会(失敗も含めて)」を奪っていませんか?
□それは、子どものためではなく「親自身の不安」を消すためにやっていませんか?
このどれか一つでも当てはまれば、残念ながら、「過保護・過干渉」になります。
たとえば、頼まれてもいないのに「こんな学校どう?」とパンフレットを置くこと。これは一見、情報提供に見えますが、お子さんが自分で悩み、葛藤し、「どう生きていきたいか」を選択するプロセス(経験)を奪ってしまっている可能性があります。「このままじゃ将来が不安だから」「ちゃんとしてほしいから」という親御さんの不安や焦りから行動しているならば、それは残念ながら「過干渉」の領域に入ってしまっています。


