スケジュール表に、予定だけでなく「実績」も書いていく

そうはいっても、絶対的に忙しいのがリーダーです。では、どうやって時間を捻出するのか。ひとつのヒントがあります。

まずやってみていただきたいのは、自分はなんでそんなに忙しくなっているのか、把握するということです。実は多くの人が、日々、何に時間を取られているのか、はっきりとは認識していません。だから、1日のスケジュールを洗い出してみるのです。

忙しい、時間がない、を連発していたある社長さんの相談にのったことがあります。特にお客様からのメール返信に時間が取られていることを自覚していました。2時間もかかっている、と。そこで、正確にどのくらいメールに時間がかかっているか、時間の記録を取ってみてはどうですか、と提案しました。

すると、驚くべきことに2時間どころか、1日に合計6時間も、メールの時間にあてていたことがわかったのです。これにはびっくりされていました。1日6時間もメールと向き合っていたのでは、なかなか自分の時間が取れないのは当然のこと。

その社長は反省して、できるだけ部下に任せられるところは任せて、これを半分の時間にするという目標を立てられました。それで3時間も時間が捻出できるわけです。

もうひとつ、私が勧めているのは、スケジュール表に終わった行動も書き込んでしまう、という方法です。

まずは1週間の記録をつけてみることから

スケジュール表といえば、普通は今後のスケジュールを書き込むものですが、そこに実際に行ったことも書き込んでしまうのです。パソコンのカレンダー機能に、予定だけでなく、その時間に何をしたのかの「実績」も書き込んでいく。しかも、できれば色別にしておきます。

これからのスケジュールは青、実際に行ったプロジェクトA関係は赤、プロジェクトB関係は緑、プロジェクトC関係は黄色、メール対応は紫、プライベートの会食はピンク、SNSに使う時間はオレンジ……、といった具合です。

そうすると、1週間の中で何に一番、時間を使っていたのか、一目瞭然になるのです。

岩田松雄『新版「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』(サンマーク出版)
岩田松雄『新版「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』(サンマーク出版)

今週はプロジェクトCの動きがなかったな、意外に会議とメールに時間を取られているな、なんてこともすぐにわかります。

自分の時間の使い方が、常に把握できるということです。

まずは1週間でも記録してみれば、何をしたら時間が捻出できそうなのか、ということもわかってきます。本来優先すべき業務に可能な限り集中することができるのです。

予定だけでなく、実績もスケジュール表に記録していく。無駄をぎ落とす、時間管理のひとつのテクニックだと思います。

アシスタントのいる方は、記録を取ってもらえばいいでしょう。

岩田 松雄(いわた・まつお)
リーダーシップコンサルティング代表

リーダーシップコンサルティング代表取締役社長。元立教大学教授。元早稲田大学非常勤講師。実践女子大学客員教授。1958年生まれ。大阪大学経済学部卒業後、日産自動車に入社。セールスから財務に至るまで幅広く経験し、UCLAアンダーソンスクールに留学。その後、外資系戦略コンサルティング会社、日本コカ・コーラビバレッジサービス役員を経て、アトラスの代表取締役社長として3期連続赤字企業を再生。さらに、タカラ常務取締役を経て「THE BODY SHOP」を運営するイオンフォレストの代表取締役社長に就任し、売り上げを約2倍に拡大させる。2009年、スターバックス コーヒー ジャパンのCEOに就任し、次々に改革を断行して業績を向上。UCLAビジネススクールよりAlumni 100 Points of Impactに選出される。2011年、リーダー育成のためのリーダーシップコンサルティングを設立し、現在に至る。2023年、早稲田大学よりティーチングアワードを受賞した。