中学受験に役立った体験は?
リアルな体験をすることは、中学受験には大いにプラスになります。
理科の星の分野は苦手な子も多いですが、夏の大三角形や北極星を見つけたりするのも、実際に星座早見盤を持って夜空を見上げるのが一番、記憶に残ります。
私は日本史が好きだったので、5年生の9月から歴史を習うタイミングで、息子と京都に行きました。
金閣寺と銀閣寺を見て、北山文化と東山文化の違いを実際に体感しました。黄金に輝く金閣と落ち着いた銀閣を見比べることで、同じ室町時代でもこれほどの違いがあるのかと息子も印象に残ったようです。
その前には宇治市の平等院鳳凰堂にも行き、平安時代の末法思想で世の中が乱れる恐れから、極楽浄土を現世に再現しようとして建てられたといった話をしました。
「流暢性効果」といいますが、事前に少しでも知識があると、人は興味を持ちます。
その後も、折に触れて関係する話をしたり、テレビのニュースなどで見たりすることで、さらに知識は定着していきます。
歴史や公民など、子供にとって身近ではない内容は、リアルな体験と結びつけることで興味につなげることができるのです。
勉強は一日のいつが効果的ですか?
最も勉強が効率的にできる時間は、朝です。
人は起きている間、何を食べるか、何を着るか、など常に判断を繰り返しています。筋肉の疲労と同じように脳疲労が起き、判断力や感情コントロール力が落ちてしまいます。そんな状態で勉強しても時間ばかりかかってなかなか身につきません。
しっかり睡眠をとることで朝の脳はリセットされ、脳疲労がとれるのです。また、15分くらいの短時間の昼寝も脳のリフレッシュにいいといわれています。
おすすめなのは朝勉強を取り入れること。そして、学校から帰ってきたら早いうちに勉強することです。特に、算数など論理的思考力を使うものは朝がいいでしょう。
一方、日本史とか漢字とか暗記は夜がいいでしょう。夜寝ているときに記憶は定着します。一番いいのは寝る直前に覚えること。覚えた後に新しい情報が脳に入ってくると記憶は上書きされてしまうのです。
せっかく暗記をした後に、スマホを見たりゲームをやってしまったりしたら、努力が無駄になってしまいます。一日の最後は暗記で終えるのがいいでしょう。
中学受験に、向き不向きはありますか?
早生まれの子は中学受験には不利だといわれます。
最近、『本当はすごい早生まれ』という本を出しました。その調査で、東大合格者数で有名な、ある難関私立男子校の1クラスの入学者数を調べてみました。
すると、4月2日〜6月までの「遅生まれ」の入学者数と比べると、1月〜4月1日までの「早生まれ」の入学者は10分の1しかいませんでした(図参照)。
1クラスだけの調査なので正式な研究とはいえませんが、早生まれの子がこの難関校に入ることは簡単でないことがわかります。
実は、息子も3月生まれの早生まれなので、私にとってもショッキングな数字でした。
実際、周囲の遅生まれの子を見ると、息子よりも精神的に成熟していると感じました。「あの学校に行きたい」「医師になりたい」など将来の見通しをもって勉強に向かっており、目的意識が強いのです。目の前のことにただ取り組むのではなく、一段深く考える力がついている。
一方、息子は、中学受験のときはまだエンジンがかかっていないようでした。丁寧に書きなさいと言っても雑に書いて「0」と「6」を間違える。「『記号で書け』といった条件部分には線を引きなさい」と何度言ってもできませんでした。
では、早生まれの子には、中学受験はさせないほうがいいのかといったら、それでも私は受験を勧めます。確かに不利ではありますが、遅生まれの子たちと一緒に学ぶことは大きなメリットがあるのです。
脳には可塑性があり、経験や学習によって柔軟に変化します。そして変化の伸びしろは若いほど大きい。
早生まれの子は、遅生まれの子よりも1年早く同じ勉強に取り組むことで、より早い時期に脳に刺激を受けることができるのです。これは脳の発達のうえではかなりプラスです。
よく、きょうだいでスポーツに取り組んで、上の子のまねをしていた下の子のほうが、いつのまにか上達してしまうといったことがあります。
前述の調査でも、高校からの入学者には、早生まれの不利は見られませんでした。中学受験の結果だけでなく、人生のなかでの成長という意味では、早生まれの子が中学受験をする意味はとても大きいと思います。
気をつけたいのは、「早生まれだからできない」などと思い込んだりして、自己肯定感が下がってしまうようなケースです。親は思い込みを助長させるような発言は避けましょう。
※本稿は、『プレジデントFamily2025夏号』の一部を再編集したものです。


