育児を教えてくれる機関はない
それなのに育児法を教えてくれる機関はありません。小児科は育児相談に応える施設も多いですが、本来は乳幼児から中学生くらいの子どもの成長発達をみたり、病気を治したりするところです。産科は、妊娠から出産が無事に終わるまでを診るところ。両親学級や沐浴指導、調乳指導を行っている産科は多いですが、小児科での育児相談と同じく、自主的に行っているに過ぎません。
医療機関は、厚生労働省が規定した医療行為を行った場合のみ診療報酬をもらいますが、育児法を教えたり、育児不安を解消した場合は支払われません。つまり、国は小児科にも産婦人科にも、育児法を教えることは期待していないのですね。また保育所や幼稚園、こども園などの施設は子どもを預かるところ。保健所が行なっているのは子育て支援事業で、正しい育児法を体系的、包括的に教えるところではありません。
ですから、幅広く育児指導を行う保健師・助産師の役割は重大です。それなのに間違ったことを伝えたり、逆にプレッシャーを与えたりしては大問題でしょう。では、実際に新生児訪問で不適切な対応をされたときはどうしたらいいでしょうか。よく聞く3つのケースごとに対応をまとめてみました。
①真偽のわからないことを言われたとき
まず、真偽を疑うようなアドバイスをされたときは、どうしたらいいでしょうか。例えば「真夏でも子どもには必ず靴下をはかせるべき」「和の粗食をとると母乳の質がよくなる」「乳腺炎になったらキャベツ湿布をするといい」といった根拠のない方法を指導されたという保護者は少なくありません。
そのほか、離乳食は医学的根拠があって生後5〜6カ月で開始すべきなのに「離乳食は早く始めるほどいい」とか逆に「2歳までは母乳だけを与えるべき」などと間違った方法を伝える人がいます。母乳分泌を増やす食べ物や飲み物はないのに母親に特定の食品をとるようすすめたり、赤ちゃんの衣類は大人のものと一緒に洗えるのに分けて手洗いしないといけないと言ったりする人もいます。ただでさえ、初めての子育てで大変なときに無駄な苦労をさせられては困りますね。
本来、育児指導やアドバイスをする際には、医学的根拠のあることだけに絞るべきです。理由もなく他人の行動を変えさせてはいけません。ですから、「それは医学的根拠があることでしょうか?」と確認し、答えられない場合、答えに納得がいかない場合は気にしなくてもいいと考えましょう。


