人びとはどのサービスをどの程度利用し、その傾向は年々どのように推移しているのか――。プレジデントオンライン編集部がビデオリサーチ社と共同で お届け する本連載。首都圏の消費者を「お金持ち」層(マル金、年収1000万円以上)、「中流」層(マル中、年収500万円以上から1000万円未満)、「庶 民」層(マル庶、年収500万円未満)という3ゾーンに区切り、生活動態の分析を試みている。


 

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男性12~69歳の身だしなみ意識(2012年)。

男性が身だしなみやファッションに対してどんな意識をもっているか。年収別に棒グラフにしてみたが、ほぼ差はない。「お金はかけなくても、センスのいいものを身につけたい」と答えた人は年収差なく全体のほぼ80%。と、思いつつも「ファッションセンスに自信をもっている」と答えた人は15%前後。ここを細かく見ると、年収500万円以下のマル庶の男性たちが16.1%と一番高く、マル中、マル金を上回ったのが面白い。「センスはお金では買えない」という自負の表れであろうか。

ファッション評論家の林信朗氏は男性のファッションセンスは男性ファッション誌が育てて来たと推察する。

「お金をかけることとセンスのあるなしは別物だという発想も、男性ファッション誌が言い続けてきたことですよね。LEONなんていうのもその最たるものだったと思います」

林氏自身、MEN'S CLUBの編集長などを経て現在もアパレル流通のCI、カタログ制作などに携わっているが、ここ数年の男性のビジネス・スタイルには目を見張る変化があるという。

「影響が大きかったのは3.11以降の節電、省エネ対策です。ネクタイをしている人が激減し、ポロシャツ、シャツの上にジャケットになり、そのうちジャケットもいらないようなことになってきている。フォーマルの順序も1番がネクタイでスーツ。2番目がネクタイでジャケットとパンツ。3番目がノーネクタイでスーツ。4番目がノーネクタイでジャケットとパンツ。5番目に色シャツでチノパン、ジャケット。こんなふうに段階がいくつか出てきているようです」

その結果、アクセサリー的な商材が売れているという。

「ちょっとお尻のポケットに覗かせるバンダナとか、時計のバンドの色を変えるとか。40代以上には帽子というのも欠かせないアイテムになってきています。そういうふうにセンスの見せどころが多様化していると言えますね。もっと言えば、男性がナルシズムな部分を堂々と見せるようになったということかもしれない。今まで抑圧されてきた『自分をかっこよく見せたい』が爆発してきているのかも」

なるほど、男性向けアクセサリーが増えてきているのは都内のデパートをウロウロしてみても一目瞭然。

抑圧されていた男性のナルシズムは案外女性よりも強かったりするのかもしれない。

次回はそれをさらに裏付けるデータを紹介しよう。

※ビデオリサーチ社が約30年に渡って実施している、生活者の媒体接触状況や消費購買状況に関する調査「ACR」(http://www.videor.co.jp/service/media/acr/)や「MCR」の調査結果を元に同社と編集部が共同で分析。同調査は一般人の生活全般に関する様々な意識調査であり、調査対象者は約8700人、調査項目数は20000以上にも及ぶ。

林 信朗
上智大学外国語学部比較文化学科卒業後、“mc Sister”、“ヴァンサンカン”、“MEN'S CLUB”、“Dorso”、“Gentry”などの男女ファッション誌の編集長を務め、フリーに。クリエイティブ・エージェンシー“TCOB”に所属し、プリント、web、モバイルのエディトリアルを担当。新聞、雑誌などへエッセイも寄稿。