早く社会に出たくて

集合写真をもう1枚。三陸鉄道宮古駅にて(撮影協力:三陸鉄道)。

宮古高2年生の赤沼涼香さん。将来の志望は「幼稚園の先生か、アナウンサーかで迷っています」。同じ放送部の久坂千明さんが、赤沼さんのアナウンサーとしての力をアピールする。

「うまいんですよ、実際、原稿とか。放送部の中でも、アナウンス部門っていったら、やっぱり涼香ちゃんの名前が挙がるくらいで。大会とかでもけっこう上位に行ったり。練習もすごい真面目にやってて、涼香ちゃんが放送してたりすると『あ、涼香ちゃんだ』みたいなかんじで、クラスとかでけっこう聞いたりするんですよ。ぴよっこの1年生とかより、すごくうまいんで、『先輩、原稿見てください』って、 後輩からも、もうすごい憧れの先輩なんですよ」

赤沼さん、高校を卒業したあとの進路はどう考えていますか。

「わたしは今までずっと、早く社会に出たくて、自分がやりたいことを早くやりたいという気持ちがあって、進路希望はずっと短大だったんです。昔から、自分にできることで何かの役に立ちたいという思いがあるので。けど、今、すごく悩んでるんです。アナウンサーになるには、まず4年制大学に行くことが大前提っていうことなので。アナウンサーになるとしたら、4年制大学に行って、でも、やっぱり狭き門なので、幼稚園教諭とか保育士の資格が取れる4年制大学に行って、資格も取りつつ、就活をしつつっていうかんじかなって思っています」

ということは、宮古は出る?

「宮古は、大学時代は一回出ますね。出る予定でいます」

働いているときは、幼稚園の先生、アナウンサー、それぞれ職場はどこですか。

「幼稚園の先生が足りないとかってけっこう聞くので、そういう需要があったら、わたしはどこでも。待機児童とかなくしていきたいと思うので。わたし、やるとしたら、けっこう時間外労働もしようとか思ってて。遅くまでちゃんと預かっていたいなって思ってます。アナウンサーだったら、東京とかのタレント扱いされるアナウンサーではなくて、地方で地域密着で、いろんなところに行って、いろんな人にインタビューとかしたりして、実際に自分も体験しながら伝えるようなアナウンサーになりたいって思ってます」

赤沼さんと久坂さんが所属する宮古高放送部は33人の大所帯。「機材古いんです。盛岡一高なんか、もう全部パソコンなのに、うちら、まだこれですよ、これ」と久坂さんが取り出したのは、最近とんと見なくなったDV(デジタルビデオ)のテープ。だが、実力は機材を超えるらしい。久坂さんが言う。

「来年、放送部の大会で長崎に行く予定があるんです。今年、わたしが担当してた番組が、なんだっけ、高総文化祭(全国高等学校総合文化祭)の県大会を突破して」

すごいなあ。

「いやぁ」

ということは、県大会に岩手の地元テレビ局の人が来て、会ったりすることも? と聞くと「あ、そうなんです」と赤沼さん。

「高橋裕二アナ(岩手めんこいテレビ)や高橋美佳アナ(テレビ岩手)にご指導受けることは何回か」

放送部は、学校外の大人との関わりがけっこうあるということでしょうかと聞くと、久坂さんが「部活柄、わりといろんなところに行きます」と答え、赤沼さんが続けた。

「取材とかで、宮古の復活する姿を追ったりとかもしてます。観光船の話とか、けっこうあるので」

なるほど、では赤沼さん、みなさん、教えてください。みなさんが見て、宮古の大人は働いているように見えますか。