昭和に活躍した大物政治家や大企業の経営者は、どのように健康に気を使っていたのか。ジャーナリストの田原総一朗さんは「以前、政財界の大物が集まる『三世紀会』という集まりを取材したことがある。参加者は80歳以上だったが、生肉を食べながら『健康に気を使ったり、人付き合いが良すぎる人は長生きできない』と語っていた」という――。(第3回)

※本稿は、田原総一朗『無器用を武器にしよう 自分を裏切らない生き方の流儀』(青春新書インテリジェンス)の一部を再編集したものです。

撮影に応じるジャーナリストの田原総一朗氏=2017年10月4日、東京都港区
写真=時事通信フォト
撮影に応じるジャーナリストの田原総一朗氏=2017年10月4日、東京都港区

生肉をむしゃむしゃ食べる政財界の重鎮たち

だいぶ前になるが、「三世紀会」という集まりを取材した。

これは1800年代に生まれた人たちが、19世紀を生き、20世紀を生き、21世紀まで、つまり3世紀を生き抜くぞという集まりなんです。政界では岸信介さん、田中派の長老だった西村直己さん、財界でも小田急の安藤楢六さん、三菱重工の前の社長河野文彦さん、キッコーマンの茂木啓三郎さん、政治評論家の細川隆元さんもいた。

その「三世紀会」の集まりがあって、僕は取材に行った。えらくみんな元気なんで、「長生きの秘訣は何ですか?」と訊いたら、面白いことを言った。「長生きしたい、健康になりたいっていうんで、一生懸命健康のことに気を遣っている奴は早く死ぬ。健康ストレスにやられてしまうんだ」と、断言した。

「ジョギングをやったり、何か健康にいいことをやったり、あれは食べてはいけない、これは体に悪いなんていう連中はみんな早く死ぬ」と言いながら、その三世紀会の連中は生肉を平然とむしゃむしゃ食ってた。当時、80数歳の連中が、ですよ。つまり健康に気を遣うこともストレスの原因だというんだ。さらにこんな言葉もポーンと飛び出してきた。

「評判のいい奴は早死にする。俺たち生き残っている奴はみんな評判が悪い」

これは悪い人間が長生きして、善人は早く死ぬという意味じゃない。彼らが言うには、評判のいいということは、つき合いがいいということであり、人に義理を立てることだと。今日飲みに行こう、ゴルフに行こう、マージャンをやろう、と誘われて、これを断れないようじゃ早く死ぬと。つまり、つき合いをすると自分のペースじゃなくなってしまう。生活が相手のペースになってしまう。