読めるようになれば自信がついて学習意欲が出る

そして、漢字が苦手だった子たちも読みができるようになっていくと、自信をつけ、なんと、書きの方もこれまでと比べて随分と覚えられるようになっていったのです。やはり、子どもたちは前向きに、意欲的に学習に取り組んでこそ成果を出すのだと痛感しました。漢字が非常に苦手だったある子は、年度終わりの抜き打ちテストで90点を取るほどになったのです。

これは、「書きよりも読みを先に!」という漢字指導改善のポイントを発見した瞬間でした。

読みを習得した後は、「書き」を丁寧に進めていきます。この際のポイントは、自由進度で行うことと、毎回正しい書き順で書くことです。自由進度での行い方は、例えば、「この漢字ドリル1冊を○月○日までに終え、先生にチェックを受ける」など、大まかにペースを決めます。そうすると、「今日は時間があるからたくさんやろうかな」とか「この字は難しいから時間をかけてやるので今日はこのページだけにしよう」などと、子どもたちが自己調整できます。

また、ドリルが終わったら、それで終わりではありません。漢字は使いこなせるようになることが重要で、ドリルに載っている使い方だけ知っていて書けても不十分なのです。ですから、ドリルが終わった子は、辞書などでたくさん使い方を調べて、漢字ノートに言葉を集めさせました。そうすることで、漢字をどんどん使えるようになっていきます。

漢字を単に書けるだけでゴール、としないことがポイントです。

2年生の児童の答案用紙
筆者提供
2年生の児童の答案用紙。空いたスペースに多用例が書き込まれている。

国語が苦手な子こそ漢字の勉強から力を入れるべき理由

国語科は元来、学校で学習したことの成果が分かりにくい教科であるとされてきました。例えば、国語では物語の学習があります。物語を何も指導されずに読んで、「全く読めない」という子はほとんどいませんよね。みんな、最初からある程度「読める」のです。それにもかかわらず授業で何時間もその教材を読みます。だから、かなりねらいを焦点化した授業を行わないと、子どもたちは「こういう読む力がついた」とは実感しにくいのです。

そんな国語科ですが、漢字は比較的子どもたちが自分の成長を実感しやすい分野です。漢字を読めるようになれば「読めた!」となりますし、書ければ「書けた!」となるからです。ですから、国語が苦手、という子には、まずは漢字の勉強から力を入れることを私はおすすめしています。