「ふるさと納税・住宅ローン控除」はどうなるのか

また所得減税に関連して、これまで受けられていた税優遇措置が受けられなくなる、といった影響も予想されます。

まず、代表的な優遇措置として「ふるさと納税」がありますが、今回の所得減税の影響はおそらくないと思います。

一方、「住宅ローン控除」には影響が出る可能性があります。

すでに住宅ローン控除で所得税が減額されている場合、今回の減税措置を引ききれないケースが多く出てくると思われます。その場合は減税措置ではなく給付金になってしまい、実際に支給されるのが再来年、という可能性もあるのではないでしょうか。

【図表】ふるさと納税・住宅ローン控除
筆者作成

「所得制限」の可能性も残っている

最後に注意しておきたいのは、今回の減税措置について、所得制限が導入されるかどうかもまだ決定していないという点です。

所得が高い人は今回の減税措置を受けられない、という制度にするかどうか、今後の世論の動向も見ながら、政府・与党内で議論していくことになります。

もし仮に、「所得が1000万円以上の人は減額措置を受けられない」となった場合、やはり非常に複雑な制度となり、経理担当者にとって頭の痛い問題になりそうです。

現場にとっては「転職」が厄介な問題になりそうです。

減税措置の期間内に転職した場合、前職の所得や、所得税の納付状況についてもちゃんと引き継げるのか、実務上不安が残ります。

繰り返しになりますが、これらはあくまで現時点での情報に基づく想定であり、実際の制度設計がどうなるかはまだ未定です。

ただ、現状のまま進めば、かなり複雑で不公平な制度になることが予想されます。

所得税・住民税の計算をする役所や、給与計算をする会社の経理部にとってかなりの負担となるでしょうし、会計士・税理士の立場としても、かなり厄介だと感じています。

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