「うちの子は10歳を過ぎているのに、スマホを自分で全くコントロールできない」と心配になる親御さんがいるかもしれません。ここで、わが子がいつまでも自己管理できないからと焦って、「スマホを取り上げる」のは、親に対する不信感を増長させるだけなので禁物です。

子どもから自律性を引き出せるように「対話」を試みてください。少しでも成長が見られたらすかさず、「認める」言葉をかけましょう。スマホとの適切な距離感は、大人でも保つのが難しいほどのものです。失敗を重ねながら、子どもが自分で管理できるようになることを信じて見守っていきましょう。

ボーッとしているのは「創造的思考」の最中

ボーッとしてる暇がない リク(小4)
塾と英会話教室に通い始めたリク。課題がいっぱいあるはずなのに、家に帰ってきても、何もしないでボーッとしていることがよくあります。母親はそんなリクが心配で、「ボーッとしてる暇があったら、勉強しなさい!」といつも叱ってしまいます。
半年後――。今も塾と英会話教室に通ってはいるのですが、一向に成績がよくなる気配がありません。「お金をかけて、せっかく評判のいいところに行かせているのに。もっと頑張りなさい!」とリクはいつも叱られてばかりいます。

子どもが何もしないで「ボーッ」としていると、なぜか不安を感じる親御さんが多いようです。「そんな暇があったら、勉強しなさい!」は、そんなときにかけてしまう言葉です。

勉強が嫌いな女の子
写真=iStock.com/Laikwunfai
※写真はイメージです

子どもがボーッとしている間にも、前頭葉は非常に活発に働いていることが、脳科学的に証明されています。これは「デフォルト・モード・ネットワーク」と呼ばれるもので、今まで蓄積した情報や記憶を前頭葉で交錯させつつ創造的なことを考え出そうとしているのです。

子どもがボーッとしていたら、前頭葉を一生懸命働かせているサイン。特に目安はありませんが、少なくとも30分くらいはそのままにさせてあげましょう。

習い事ばかりで成績が伸び悩むケースも

ボーッとした後に、子どもが「お母さん、あのさ、めっちゃいいこと思いついたんだけど!」などと言葉を発することがあります。まさに「デフォルト・モード・ネットワーク」が機能して、創造的なことを思いついた瞬間です。そういうときは、「なになに?」と話を聞いてあげましょう。

ボーッとさせてもらえないリクは、毎日、一生懸命に頑張っているのに、塾の成績は上がりませんし、英会話も上達する気配がありません。これは、「デフォルト・モード・ネットワーク」を働かせることができないため、前頭葉が育ちにくいからです。