子供が「うざい」と言い出したら、親はどう返すのがいいのか。文教大学教育学部の成田奈緒子教授と公認心理師の上岡勇二さんの共著『その「一言」が子どもの脳をダメにする』(SB新書)から、「乱暴な言葉」を使う子供への向き合い方を紹介しよう――。
学校帰りに公園に立ち寄る小学生の男の子
写真=iStock.com/TATSUSHI TAKADA
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子供が「うざい」と言い出した時の対処法

ケンカして頭にきた! アキラ(小6)
友達とケンカをして帰ってきたアキラ。「○○、ぶっ殺す!」と怒っています。そんなアキラに、「『ぶっ殺す』なんて汚い言葉、使うんじゃありません!」と注意する母親。今までも道理が通らないことを言ったときには、厳しく注意をするようにしてきました。
そうして1年後――。コンビニの前に、不良少年たちがたむろしています。その中に、中1になったアキラの姿がありました。「うちの親、真面目なことばかり言って超うぜえんだよな」とアキラ。周りの仲間たちも「うちの親も!」と言い、盛り上がっています。

子どもが「ぶっ殺す!」などと穏やかではない言葉を吐いたら、本当に殺す気がないとわかっていても、たいていの親は戸惑ってしまうでしょう。

子どもが感情的な言葉を吐くのは、不安に思っているサインです。そのようなときの親子のコミュニケーションは、「オウム返し」が基本です。

「そっかあ、○○くんぶっ殺すんだ~」と何食わぬ顔で返してみましょう。きっと、そう返された子どもは焦って、「何言ってんだよ! ほんとに殺すわけないだろ!」などと否定するでしょう。

そうしたら、「一枚上手」のすました顔で「なんだあ、殺すんじゃなかったんだ。お母さん安心したけどさ、一体何があったわけ?」と聞いてみましょう。

そこから親子のコミュニケーションが始まります。

正論ばかりぶつけると非行に走る

アキラの家庭のように、正論ばかりを言っていると、子どもの脳は不安でいっぱいになり、いつかストレスに耐えられなくなってしまいます。最終的に、非行に走ってしまうケースは決して少なくありません。