なぜ子供はすぐにバレるウソをつくのか。文教大学教育学部の成田奈緒子教授と公認心理師の上岡勇二さんの共著『その「一言」が子どもの脳をダメにする』(SB新書)から、子供がウソをついてしまう理由を紹介する――。
幼い子供を学校に連れて行く父親
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親の財布から1万円を抜き取った小学6年生

嘘を言ってごまかしたい ユウセイ(小6)
誰もいない家の中でサッカーのリフティングをして、陶器の人形を割ってしまったユウセイ。ごまかすために人形を捨ててしまいました。
「あの人形、どこにいったのかな」との母親からの質問に、「知らない」と返すユウセイ。母親は察して、「嘘をつくんじゃありません! 本当のことを言いなさい」と問い詰めました。最近嘘が多いので、父親にも厳しく叱ってもらいました。
ある日、ユウセイが学校から帰ってくると、テーブルの上に母親の財布が置かれていました。持って出るのを忘れたようです。ユウセイは財布を開き、そっと1万円札を抜き取りました。

「嘘つきは泥棒の始まり」という言葉があります。

確かに、ユウセイは嘘をついたことをきっかけに、財布からお金を盗む「泥棒」になってしまったように見えます。しかし、これは嘘をついたから泥棒になったのではありません。親に「嘘をつくんじゃありません!」と叱られ続けることで、不安とストレスが高まったことから攻撃性・衝動性が生じたのです。

なぜバレバレなウソをついたのか

子どもが嘘をつく理由は、多くの場合、本人ではなく親にあります。子どもは、親に「怒られる」「悲しまれる」「否定される」などと思うから嘘をつくのです。これは、親によく思われていたい、嫌われたくないという不安な気持ちの表れです。

子どもの嘘に気づいたとしても、その場で指摘するのではなく、「泳がせる」ことをおすすめします。そして、また似たような嘘をついたときに、「あのときもさ、本当はそうじゃなかったよね?」などとさりげなく切り出すのです。

子どもが「ひょっとしてバレてる⁉」という顔を見せたら、「悪いけど、お母さんには全部お見通しだよ」と伝えましょう。「嘘をついてもすぐバレる」と子どもが思ったらしめたものです。「お母さんにはかなわないや。どうせ、嘘をついてもバレるんだから」と思うようになり、嘘はつかなくなるでしょう。