米国オバマ大統領(左)とロムニー共和党大統領候補(右)。(PANA=写真)

12年末から来年1月にかけて、米国は大規模な財政緊縮――「財政の崖(Fiscal Cliff)」の危機に瀕している。「財政の崖」は、ブッシュ減税など特別措置の終了や増税、歳出削減などが年末から来年1月までに同時期に起こることが原因で、これが発生すれば米国GDPを約3%押し下げ、約200万人の雇用が失われると言われる。

「財政の崖」は米国としては何としても回避したい代物だ。しかし、そこに立ちふさがるのは与野党のねじれ国会と大統領選だ。

第一生命経済研究所・主席エコノミストの永濱利廣氏は「いずれかの政党の圧勝がベストシナリオだ」と語る。

「11月中にもブッシュ減税延長と歳出削減の緩和による財政緊縮額の1/3程度の圧縮が決まり、早期に不透明感が解消すれば、来年の米GDPを0.7%程度押し下げるにとどまるだろう。ワーストシナリオは選挙結果が分かれた場合だ。結果的にはベストシナリオ同様財政緊縮額が圧縮されても、民主党と共和党の妥協に時間がかかるため、年末まで不透明感が高まる。この場合、来年の米GDPを1%程度押し下げるだろう」と語る。

「財政の崖」の余波は日本にもやってくる。「米国で消費、投資が冷え込み、実質GDPが来年3%程度押し下げられるとすれば、日本でも米国向け輸出が打撃を受け、生産や企業収益が冷え込む。その結果、来年度の日本の輸出は2%以上マイナスとなり、GDPも1%弱押し下げられる。円高も進み、貿易赤字も拡大するだろう」(永濱氏)。米大統領選の行方に注目だ。