子供や部下はほめて育てよう。最近よく聞くフレーズだが、実際、どのように言えばいいのか。これまで1000人以上の社長・企業幹部の話し方を改善してきたスピーチ&コミュニケーション戦略研究家の岡本純子さんは「資生堂の魚谷雅彦会長CEOにメールを送信して30分後に返ってきたメールにしびれました」という。349文字のメール全文を公開しよう――。

※本稿は、岡本純子『世界最高の伝え方』(東洋経済新報社)の一部を再編集したものです。

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写真=iStock.com/Vladyslava Yakovenko
※写真はイメージです

一流は「よくできたよね」「OK」とはホメない

本稿でここからは人が動く「世界最高のほめ方」のテクニックを詳しく紹介していきますしょう。

「ほめる」のが難しい原因のひとつは、「ほめる=相手に媚びて、美辞麗句的な言葉を並べ立てること」と誤解されがちなところです。

しかし、「ほめる」とは、決して相手のよさや強みを大げさに賞賛することではなく、じつはもっと幅広い範囲の言葉を総称しています。

広義の「ほめる」の基本動作は「認める」「共感する」「ほめる」「感謝する」。この4つの内容を組み合わせることで、深みのある、気持ちのこもった、真の「ほめ言葉」になるのです。

それぞれの言葉から一文字ずつとって「みかんほかんの法則」と名付けました。

一つひとつ解説していきましょう。

「認める」が最初のステップ

まずは、努力や変化に気づくことから

最初のステップは「認める」。何より大切なのは、子どもや部下、同僚を見守り、よく観察し、その努力や変化に気づいてあげることです。


最近、なんだか目の色が違うね
一生懸命、がんばっていたもんね
プロジェクト、順調みたいだね
努力の成果が出ているみたいだね

といった具合です。さらに、もう少し具体的に指摘すると、より効果的です。

よくできたよね

おもちゃを元の場所にきれいに戻せたね
よかったね

昨日のプレゼン、デザインがとっても見やすくなっていたよね
OK

お客様へのあいさつが、とっても気持ちがこもっていて、よかったね

「なるべく具体的に」と「『なぜなら』を加える」を応用することで、次の行動に結びつきやすくなります。ちょっとした変化や努力に気づき、こまめに声をかける。これで、相手の気分も上がり、職場や家庭の雰囲気も格段によくなります。