感謝の気持ちをどのように表現すると好印象を残せるのか。これまで1000人以上の社長・企業幹部の話し方を改善してきたスピーチ&コミュニケーション戦略研究家の岡本純子さんは「感謝を示すことは他者へのポジティブな影響のほかに、本人自身にも無数の効能があることがわかっている。また、コミュニケーションの熟練者はホメられた際の返事も秀逸だ」という――。

※本稿は、岡本純子『世界最高の伝え方』(東洋経済新報社)の一部を再編集したものです。

黄色いガーベラを母親が娘に手渡す手元
写真=iStock.com/Hakase_
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「感謝」の伝え方 その驚異的効果、知っていますか

最後のステップは「感謝する」です。感謝することの効用は数多くの研究で実証されています。たとえば、ペンシルベニア大学ウォートンスクールのアダム・グラント教授の研究によれば、上長からの感謝のメッセージを聞いた大学職員は、そうでない職員に比べて約50%も多く募金を呼びかけることができたそうです。

「感謝を示す」ことは他者へのポジティブな影響のほかに、本人自身にも

・人間関係の輪を広げることができる
・身体の健康を増進させる
・妬みや恨み、不満や後悔に至るまで、多数の負の感情を軽減させる
・よく眠れるようになる
・自尊心を向上させる

など、無数の効能があることが知られています。

みなさんは、日ごろ、まわりの人にその感謝の気持ちを伝えていますか?

私の娘が最近、ラーメン店でアルバイトを始めました。そこで、彼女が驚いたのが、不機嫌なお客さんがやたら多いこと。とくに中高年の男性の「ありがとう」率がダントツで低いそうです。

「ありがとう」は店員が客に言うもので、客が言うものではない、という考えなのでしょうか。まるで、「ありがとう」という言葉を発したほうが負け、と言わんばかりに、バスやタクシーの運転手さんや飲食店の店員さんに対して無愛想な人は、残念ながら少なくありません。

感謝の気持ちは、伝えられた人をいい気分にし、モチベーションを上げるだけではありません。伝えた本人の幸福感も上がる貴い気持ちです。ただ、感謝を伝えるといっても、「ありがとう」ぐらいしか思いつかないし、とりあえず、機械的に言っている、そんな人もいるかもしれません。

そこで、今回は、永久保存版! 「感謝の言葉の言い換えの事例」を紹介しましょう。