もちろん、それでも請求したければ請求できるものなのだが、敗訴した相手に手間をかけて細かな費用負担を求める気にはならない人が多いようだ。

以上のように、訴訟をするなら弁護士費用も訴訟費用も結局は自己負担になると考えておくのがいい。しかしそれでは誰もが訴訟に二の足を踏んでしまう。そこで考えられたのが少額訴訟という制度だ。

少額訴訟、本人訴訟の敷居は意外と低い(PANA=写真)

少額訴訟、本人訴訟の敷居は意外と低い(PANA=写真)

これは60万円以下の金銭支払いを求める訴訟に適用されるもので、弁護士を頼むこともなく自身でも簡単に進めることができる。裁判日数も1日と短いのが基本なので、費用を抑えたい。すぐに結果を求めたいときに有効だ。

また、弁護士を頼まずに本人訴訟をするという方法もある。裁判所には交通事故や敷金返還訴訟など、よくある裁判の訴状の定型フォーマットが用意されている。インターネットで本人訴訟のノウハウを公開したサイトなども増えているため、手間さえ厭わなければ、本人訴訟を起こすのは以前と比べて難しくなくなっている。素人が本人訴訟を起こすときに大事なのは、わからないことは億劫がらず、裁判所の書記官や、併設されている相談センターなどで聞くということ。そして、証拠は写真や書類など、書面の形で準備するということだ。

このほか、残業代未払いなどの労務問題なら、労働組合などの支援組織を巻き込み、社会運動的な裁判にすれば、本人は弁護士費用をかけずに裁判に持ち込める可能性もある。

(PANA=写真)
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