FX取引口座を遺族が知らず、追加証拠金で1500万請求

一方、「オンラインデータ」も、法的に相続できないケースが多い。ネット上のメール等のアカウントは、利用規約において「第三者に譲渡、貸与、相続できません」と規定されていることが多いためである。このような場合、アカウント自体は、故人のみに帰属するものとして、相続の対象とはならない。

だからといって、故人になりすまして利用しようと考えるのは危険だ。生前からIDやパスワードが共有されていれば、「本人の承諾」があるものと評価されうるため、不正アクセス行為に該当するおそれは低くなる。しかし、利用規約上、相続禁止を明記しているサービスであれば、利用規約違反となる事実は変わらない。

なお、オンラインデータで意識したいのは、アカウントを引き継ぐことよりも、むしろ停止ないし解約することだ。ネット証券でFX取引をしていた人物の死後、遺族は口座の存在を知らずに放置。為替変動で追加証拠金が発生し、業者から1500万円を請求された事案もある。金融系のサービスは、まずサービスの停止が最優先。遺産分割のことはその後でよい。

誰にでも万が一の事態は起こりうる。死後に遺族が困らないよう、エンディングノートなどを活用し、デジタル遺品を整理してIDやパスワードを書き残しておくべきだ。

▼相続できるサービス、できないサービス

SNS

△:Facebook、Instagram 追悼アカウントに変更が可能
×:Twitter 遺族は利用できない

アカウントの譲渡・相続は一切を禁止しているものがほとんど。一部サービスでは追悼アカウントに変更することが可能。

カードポイント
○:JALマイレージ、ANAマイレージ 相続できる
×:Amazonポイント、Yahoo!ポイント、楽天ポイント 相続できない

JAL・ANAのマイレージポイントは相続することが可能。

マネー
○:ネットバンク、ネット証券

ネット上にもお金を預けているか否かの家族への告知は最重要。登録した連絡先を伝えておけば、大きな金銭的損失は抑えられる。

メディアコンテンツ
故人以外の利用不可
×:Kindle、d-magazine 電子書籍・雑誌、Hulu、NETFLIX 映像配信
書籍や映像の「所有権」ではなく「閲覧権」を得ているにすぎないので、相続することは不可。
伊勢田 篤史
2006年、慶應義塾大学経済学部卒。13年、中央大学法科大学院修了。15年みらい総合法律事務所入所。16年日本デジタル終活協会を設立し、代表理事を務める。