さらっと笑顔で断る

「傷つくのが怖いとか、性格がシャイだとかいろいろな要因がありますが、言いたいことが言えずに悩んでいる人はとても多いですね」と言うのは心理学者の諸富先生だ。特にノーが言えない人は、不満をためにためた揚げ句、いきなりキレることが多い。

心理学者●諸富祥彦氏

これは人間関係を壊してしまう最悪のパターンだ。

そういう人のために開発されたのが、「アサーション」とか「アサーティブ」と言われるトレーニングである。

「これは自分の言いたいことだけを言うのではなく、自分も相手も尊重する伝え方です。ポイントは相手の立場に立ちつつ、自分の言いたいことを盛り込んでいくことです」(諸富先生)

たとえば休日に会社の部活動の試合の応援に来てほしいと頼まれたとしよう。「休みの日にわざわざ興味のない試合を見にいくのは嫌だ」と言えば相手が傷つくし、断ると関係が悪くなる気がする。だから心ならずもつい承諾してしまい、後悔するというわけだ。

こんなときアサーティブな言い方をすると、次のようになる。「今回は用事があるから応援に行けないけれど、もしあなたが出場するならいつでも行くからね」というように、相手にもプラスになる一言を付け加える。

そうするとウィン・ウィンの関係になるので、安心して言いたいことが自然に言えるようになるのだ。

「あとは、笑顔で断ることです」と諸富先生は付け加える。

「断るということにこだわって、謝罪しすぎる人がいます。あまりにもしつこく謝ると、誘ったほうも『誘っちゃって悪かったかな』と嫌な気分になるので、かえって人間関係が壊れやすくなる」

あまり考えすぎずに、さらっと笑顔で断るのがポイントだ。