おすすめはチャップリン

さらにおすすめなのは、一緒に働く同僚や部下をよく観察して、その印象を1日1回口に出してみること。なんとなく感じた印象を言語化して伝えることで、右脳から左脳につながる回路ができる。

「今日は顔色がいいね」
「今日は元気がないんじゃない?」

実はこれらは昨日との違いを認識していなければ言えない言葉なのだ。

見た目の印象を素直にぶつけてみれば、「ちょっと朝から体がだるくて」など、理由がわかる。そのようにして相手の状況を理解することでアドバイスもできるようになるので、印象を伝えてみるということは大切なのだ。

いきなり生身の人間を相手にするのは荷が重いという人は、舞台や映画、テレビドラマなどお芝居を見て、俳優の表情をよく観察することから始めてみよう。ただし洋画はあらすじを理解するのに字幕を追わなければならない。会話の多いドラマもセリフのやりとりに意識が向いてしまうので、俳優の表情を読み取るのは難しいだろう。

「おすすめはチャップリンなどの無声映画です。音声がない分、役者の表情や動きに注目して、何を表現しているのか、今どんな気持ちなのかを読み取らなければいけない。これは右脳を活性化することになります」(加藤先生)

パントマイムなど、注意してよく見なければ何をしているのかわからないもの、シルク・ドゥ・ソレイユのようなショーも、言葉がない分、右脳の理解力が求められる。

ペットや植物の世話をするのもいい。当たり前だが、動植物は言葉を話せない。こちらが様子を見て、「健康状態はどうか」「食欲はあるのか」「肥料をやったほうがいいのか」などと想像し、必要なケアをしてやる必要がある。

「朝顔などを見ていればわかりますが、植物も日々刻々と変化しています。よく観察して心に留めていると、『昨日は花が5つだったが、今日は7つ咲いた』というように変化に気付けるようになってくる。これが右脳の視覚系と記憶系の脳番地の強化につながるのです」(加藤先生)