求められるのは管理でなく現場力

高城さんは、「企業が再雇用社員に求めるのは、いままでの経験を生かした実務をこなしてもらうこと。そこで、管理職としてではなく、職場の一スタッフとしての“現場力”が必要になります」と説明する。しかし、それはかなり高いハードルだ。とりわけ、大企業の管理職だった人は、周囲の部下たちが万事お膳立てをしてくれるため、実務能力を喪失してしまったケースが少なくない。では、現場力を取り戻すためには、どうすればいいのだろうか? 高城さんは次のようにアドバイスする。

「定年前の管理職の人なら、再雇用で自分が一スタッフに戻ることを見越して、周囲にいる部下たちの動きをよく観察しましょう。ただし、部下の仕事に手出しすると迷惑がられます。『オレだったらこうする』と、シミュレーションしておくといいでしょう」

門脇さんも、「部長クラスの人なら、試しに自分で取引先の部長にアポを取ってみたり、自分で資料を作成してみたりしてもいいですね。基本的なパソコン操作くらいは、できるようになっておきましょう」と勧める。

また、高城さんは、企業に歓迎される再雇用社員の像についてこう示す。

「一つは組織の『知恵袋』。空気を読んで普段は出しゃばりませんが、何か問題が起こったとき、長年培ったノウハウを生かしてさっと解決してしまう。もう一つは人と人をつなぐ『緩衝材』です。持ち前の“年の功”で、トラブル対応に腕を振るったり、きめ細かい気配りをしていきます」