今こそ、経済学を学ぶことが必要だ。そうとわかってはいても、実際忙しいし、だいたいカタカナの専門用語を見ると思考が止まる。どだい、役に立たないものの代名詞じゃないか、経済学って?――そんなあなたに、目から鱗のインスタントな知的武装術!

昨今、上場企業の決算発表では、「サブプライム・ローンによる云々」「未曾有の金融危機」が定番フレーズだ。業績低迷の原因は確かにその通りなのだろうが、こういう説明が素直に腑に落ちる企業と、「それ以前の問題だろ!」と突っ込みたくなる企業とがある。

各社の営業マンとて同じだ。事業環境が厳しくなったとはいえ、ひっきりなしに顧客からお声の掛かる腕利きは少数とはいえ存在するし、数字を落としても頑張って一定水準を保っている者もいる。訪問先も底をつき、漫画喫茶でお茶を濁す者との力量差は開くばかりだ。

そんな残念な営業マンに箔をつけよう、ということで立ち上がった本企画。「営業マンの武器」と大見得を切ってしまった以上、こじつけだろうが何だろうが知的でカッコイイ専門用語を提示するのが筋なのだが、実際、そのチョイスはなかなか難しいのである。

例えば、損益分岐点、費用対効果=コストパフォーマンスはもちろん、デフレ(ーション)、シナジー、イノベーションもビジネスの世界ではもはや日常の用語である。今さらもっともらしく紹介してもどうかと思われそうだ。

「局面」や「段階」をフェーズ、ほかにはない自社(製品)の強みをコア・コンピタンスとカタカナに言い換えれば、ほんの少しだけ賢く見えそうだ。が、いくら何でもこれでは物足りない。

マルコフチェーン・モンテカルロ、レオンチェフのパラドックス、限界代替率、ビルト・イン・スタビライザーあたりは語呂がなかなかイケていると思うのだが、応用の利く場面はあまりなさそうだ。