再エネ普及のため毎月675円が上乗せされている!

一方、原子力の代替エネルギーとして期待されているのが再生可能エネルギーだ。しかし、コスト面に大きな課題がある。再生可能エネルギーの普及を目的に、12年度に固定価格買取制度(FIT)が導入されたが、当初、太陽光発電の買取価格は事業用(10キロワット以上)で40円、住宅用(10キロワット未満)で42円と売り手に有利な価格が採用され、“太陽光バブル”が生じた。

今後、再エネの普及に伴い、買取費用は着実に増加していく。あまり知られていないが、再エネの買取費用から再エネによる発電に伴い不要となった火力発電の費用等を差し引いたものが賦課金として、電気代に上乗せされている。16年度の買取費用は約2.3兆円、一般標準家庭で毎月675円の負担がすでに発生している。さらに、認定を受けたものの、いまだ発電していない設備もあり、これらが稼働してくれば、買取費用はさらに膨らんでいく。しかも、一度決まった買取価格は20年間維持されるため、再エネの負担額は増加する一方と考えられる。仮に16年度の買取単価が20年間維持されただけでも、その間の買取費用は総額で約46兆円にまでに積み上がる。経産省の試算では、30年度には買取費用が単年度で4兆円前後にまで膨らむ見通しだ。

経産省は一昨年、30年度における理想的な電源構成、いわゆるエネルギーミックスを示した。そこでは、原子力と再エネをいずれも20%台前半に置いている。原発を再稼働させることで、燃料費を削減するとともに、再エネの買取費用を補い、電力コストを現状よりも引き下げることを目指しているが、原発の再稼働が進まない中での達成は心許ない。

コスト面以外にも現在の電力供給には懸念が残る。「東日本大震災から6年が経過し、3.11直後に心配されていた大規模な停電は回避された。ただし、現在は火力に9割近く依存している異常事態である。原発がほとんど停止する状況の中、それまでは休眠していた古い火力発電所まで稼働させるという電力各社の懸命な努力があったことを忘れてはならない。そこを見ずに『原子力がなくても電気は足りている』といった主張がなされるのはおかしなものだろう」と石川氏は語る。

今年1月に米国大統領に就任したトランプ氏は、イランに対して強硬姿勢を示すなど、中東情勢に不安定さも増す中で、エネルギー自給率が6%と資源に乏しい日本においては、エネルギー問題を考えるにあたっては「S+3E」の視点が欠かせない。すなわち、「安全性/Safety」確保を大前提に、「自給率/Energy security」「経済効率性/Economic efficiency」「環境保全/Environment」を同時に実現していくことが不可欠だ。もちろん、いずれも簡単なことではない。だが、それぞれの電源の長所を組み合わせて、少しでも、その向上を図れるよう、冷静な議論が必要になる。