「ギャップ・イヤー」認める米国

先日、オバマ大統領の娘マリアがハーバード大学への入学を決め、注目を集めたのは入学が2017年になることだった。本来ならば今年2016年の入学のはずが1年先に見送っている。これはアメリカでは「ギャップ・イヤー」と呼ばれる、大学入学前に1年ほど休暇を取り、見聞を広めてから学業に戻る制度だ。アメリカン・ギャップ協会の調査によると、年間およそ3万~4万人が1年のギャップ・イヤーの後に大学に入学しているという。多くの学生は学業を休んでボランティアをしたり、旅行をしたり、企業インターンをしたりと自由な1年を過ごす。

マリア・オバマが入学予定のハーバード大学は、むしろ学生に1年休んでから学業に復帰することを促している。1年休養して教科書を離れて社会に目を向けることは、自分が何を学びたいかを理解する機会になるからだ。さらにインターンなどから自分の仕事への興味や向き不向きも感じるようになるかもしれない。何よりも、受験で無我夢中だった自分を冷静に見直す時間になるだろう。

社会人にもこうした疲れた頭を冷却する制度はある。たとえば大学の職員には、サバティカルという、一定期間勤務したのち1年ほど研究などに打ち込む時間が与えられる。ずっと勤務するよりも、リフレッシュすることでより発想が豊かになることを期待するものだ。組織にもよるが、給料はおよそ1学期分かそれ以上になる。

そして最近は日本の企業でも、介護休業などさまざまな休暇の取得を認めるようになった。たとえば育児休業は上限で1年まで。給料は得られないが、給付金は最初の6カ月は月給の67%、7カ月目からは50%になる。必要に駆られてのことかもしれないが、仕事から頭を切り替えるいい機会にはなるだろう。ほか、日本の年次有給休暇は半年勤務で10日発生する。それから1年勤務するごとに1~2日増え、最高20日程度になる。ところが、こうした公の休業ですら、日本では連続して取りにくいのも事実。たとえ取ったとしても、戻ってきたときに果たしてどうなるかを考えると手を出しにくい。

グラフィックデザイナーのステファン・セグメイスターは、仕事におけるこうしたオフを、ちょっとおもしろい形で提唱している。それはこんなものだ。