「銀行って、結局男に甘いんです」

たとえば、デパートガール編では、バブル期を満喫したであろう、大手百貨店に勤続20数年の推定年齢48歳の女性と、同じ店舗の後輩で入社8年目の30歳女性2人。48歳女性がバブルのころを「遊びの合間に仕事をするって感じで、勤務が終わるとそのままタクシーで銀座や六本木に出て飲んだり踊ったり」と、遠い目で語ると、年下の2人は「私たちには、全くわかりません」と、きっぱり。キツイ仕事でも30歳の一人は「努力すれば、ちゃんと売り上げに直結しますから。事務職のOLさんより、ずっとやりがいがありますよ」と、目を輝かす。

35~43歳の4人が集まった女性銀行員編では、39歳の女性が「銀行って、結局男に甘いんです」と、内情を語る。行内不倫が発覚した場合、男性行員は地方に飛ばされ、女性行員は配置転換ナシだというが、残る方が針のムシロ。女性は、周囲の冷たい目に耐えきれず辞めていくケースが多いといい、一方の男性は概ね3年で禊が済んで本社に戻って出世したりするという。ちなみに、4人とも上司との不倫経験アリというから、銀行という職場もいろいろだな~と思わせる。

ここまで書くと、もちろん職種別女性ナンパの参考書でないことが分かる。要は、現代に生きる働く女性のリアルを徹底解明したものなのだ。

単なる興味半分で読むのもよしだが、個人的な見解で言わせてもらうならば、女性を部下に持つ中間管理職の方々や経営者の方々に読んでいただきたいと思っている。彼女たちが何を考え、どうやって仕事に取り組んでいるのか。その合間を縫って、どのような恋愛を謳歌しているのか。

そのホンネを少しでも理解し、汲み取ってこそ、よりよい職場環境づくりの可能性が見えてくるだろう。もし、それが叶わないとしても、同じ職場で働く彼女たちの心根がわかるだけでも一歩前進になると思う。

所詮、この世は男と女。わかっていても、わかり合えない難しい問題を本書はズバリ斬り込んできたのだ。私は職業柄、行間からにじみ出る柴門氏の「取材力」の凄さに感服しっ放し。同業者の皆さんにもぜひご一読いただきたい。決して、損はさせませんぞっ!(笑)

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