青島健太(スポーツジャーナリスト)

あおしま・けんた●1958年、新潟県新潟市生まれ。埼玉県立春日部高校を経て、77年に慶應義塾大学へ進学。81年に同大卒業後、東芝に入社。85年にヤクルトスワローズへ入団する。89年のシーズン終了後に現役を引退、翌年よりオーストラリアにて日本語教師となる。91年帰国後、スポーツライター、キャスターとして活躍。鹿屋体育大学、流通経済大学、日本医療科学大学の各客員教授を兼務する。著書に『長嶋的、野村的』『メダリストの言葉はなぜ心に響くのか?』など。

元気のいい人って頼りになる。からだの奥から発散される天然のエネルギー。スポーツジャーナリストの青島健太さんが、ラグビーのトップリーグの新人研修会で、約2時間の講演をした。アツく、やさしく、オモシロく。

テーマが『トップアスリートのコミュニケーション』。「即効性あるのみ」といきなりパンチを効かせ、実践的で軽妙なトークで新人選手たちをひきつけていく。メディアの影響力の大きさを全国紙の部数やテレビの視聴率を示しながら説明し、「地上波で視聴率1%だと100万人単位の人が見ている計算となります」と話した。

社会人としての大事なことを『黄金のピラミッド』と表現し、土台から上へ、「礼節」「感謝」「謙虚」「個性」と積み上げていく。少々、過激なモノ言いでも、礼節や謙虚さがあれば、そんなに嫌われることもないそうだ。

「会社の選手の基本は2つ。ひとつは、遠征に行ったら、1000円のみやげを買ってくること。もうひとつは、ご馳走になったら、次の日の午前中にお礼の電話をかけること」

何人かの選手との模擬テレビインタビューもあった。青島さんが聞き役に回り、具体的なアドバイスをおくる。答えに窮しても、「応援をよろしくお願いします」なんて決まり文句で終わってはいけない。

「自分の個性の出し方を考えましょう。せっかくの機会を活用しないと、アスリートとしてはもったいのです」

インタビューに関し、ふだんから3つの答えは準備しておいたほうがいい。「ファンへのメッセージ」「ラグビーの魅力」「地元・周囲への思い」と言うのである。

青島さんは新潟県出身。慶應義塾大学の野球部で活躍したあと、東芝を経て、プロ野球のヤクルトに入団した。故障にも泣かされ、5年で引退。その後、オーストラリアで日本語教師を勤め、帰国後はスポーツライターやスポーツキャスターとして活動してきた。

社会人野球の監督も務めた。いつも全力。そのチャレンジングな人生、ポジティブな性格は接していて心地よくなる。豊富な実体験に裏付けられた自信が、コトバの端々ににじんでいるのだった。

人生とはたった1回である。最後にはホワイトボードに黒マジックで「自分をはみ出す」と書いた。講演後、その趣旨を確認した。

「若い人には自分をはみ出してほしい。いまの時代、みんな、社会常識から、はみ出さないように、はみ出さないように、おとなしく生きている。例えば、無難なメールを送るよりも、ちょっと勇気を持って電話をかけてみるのです。トシをとったから、こう言えるのかもしれません」

自分ではみ出さなくなったからかな、と苦笑する。

「ありものだけをいじっていくだけじゃ、人は成長しないじゃないですか。自分で新しい世界を切り開いていく。特にアスリートにはチャレンジしていってほしい。若いときには、何事にもこわがらず、どんどんはみ出してほしいのです」

自分をはみ出せ! ラグビーのトップリーガー、いや日本の若者に求められるのは、この気概であろう。