団塊の世代は死後も自然志向

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夫婦は同じ墓に入るべきである

いわゆる新しいスタイルの埋葬に対しては、自分の墓を継ぐ子どもがいない人、および女性のほうが関心が高く、希望する人も多い。どちらかというと男性のほうに保守的な考えを持つ人が多いようだ。さらに興味深いのは、「夫婦は同じ墓に入るべきである」という考えについての調査結果だ。「そう思わない」「どちらかといえばそう思わない」という否定派の男性は、たった6.4%だったにもかかわらず、否定派の女性は17.5%も存在するのだ。

「妻が夫と同じ墓に入りたくない理由は、2つ考えられます。一つは、本当にご主人と仲が悪くて、『せめて死んだら別居したい』という“あの世離婚”ケース。もう一つは、『ほとんど行ったこともない夫の地元の墓に埋められたくない』『夫はよくても夫の両親と同じ墓は嫌だ』と考えるケース。通常は妻より先に夫が亡くなるため、妻のほうが少し冷静に墓の問題と向き合えるのかもしれません」(第一生命経済研究所主任研究員 小谷みどり氏)

結婚したからには夫婦仲良く同じ墓に、という考えは、どうやら男性側の甘い幻想であるようだ。老後、新婚当時の力関係が逆転してしまうのか。

「新しい埋葬スタイルを選択する人は、実際にはまだ少数ですが、年々関心の高まりは感じています。私がサポートする桜葬も、初期の頃こそ『夫と同じ墓に入りたくない』『墓を継承する子どもがいない』など“ワケあって”選択する人が多かったものの、今選択する人のほとんどが普通の人。都会に住む人のほうが特別多いということはありませんし、子どもが何人もいる夫婦も珍しくありません。私はこの流れを、墓の継承・管理や金銭面で『子どもに負担をかけたくない』という親としての配慮や自立心の表れと考えています。また、青春時代にフォークソングを歌い、自由を謳歌した団塊の世代は、自然志向の表れとして散骨や樹木葬を選ぶこともあるようです」(東洋大学ライフデザイン学部教授・NPO法人エンディングセンター代表 井上治代氏)

散骨、共同墓などの例が出てきたが、実際のところどのようなものなのか。ライフデザインの参考に、新しい埋葬スタイルの代表的なものを見ていこう。