●宇宙葬(バルーン工房=写真提供)●手元供養(NPO法人手元供養協会=写真提供)

そして気になる“宇宙葬”だ。名前だけ聞くと驚くが、ようは空への散骨である。発祥の地はアメリカで、「人は死んだらお星様になるというエピソードにロマンを感じた人が利用しているのではないかといわれている。遺灰や遺骨を納めたカプセル数百人分をロケットで宇宙に打ち上げるのだが、これが大気との摩擦によって燃えるため、場合によっては流星になる。アメリカ式のこの方法は価格的にもかなり高価だが、日本では近年“バルーン宇宙葬”というものが生まれ、遺灰を詰めた巨大バルーンを打ち上げ、宇宙に散骨するスタイルがとられている。

最後は“手元供養”である。これは、「仏壇はないが故人を偲べるものを家に置きたい」「お墓が遠く墓参りが難しい」などの理由から、遺骨や遺灰を身近に置きたいと考える遺族の思いを叶えるスタイルだ。大きく分けると“分骨納骨型”と“遺骨加工型”があり、前者は置物やミニ骨壷、ロケットペンダントなどに遺骨や遺灰の一部を入れ、自宅に安置したり身につけたりするもの。後者は遺骨を加工してプレートにしたり、ペンダントトップにしたりするものだ。遺骨や遺灰から炭素を取り出し、特殊な機械で人工ダイヤモンドに加工することもできる。とはいえ、

「散骨、宇宙葬などにもいえることですが、手元供養だけを選択する人は非常に稀。通常の墓に埋葬した後に、残った遺骨・遺灰を手元供養するケースが多いですね」(小谷)

新しい埋葬スタイルまで含めると、死後にも実にさまざまな選択肢が広がっている。「死ぬことを考えるなんて縁起が悪い」と目を背けずに向き合うと、自分の生を考える、いい機会になるのではないだろうか。(文中敬称略)