教員免許のない人が教えられる仕組みを

2010年、小・中高生向けスクールIGSを設立。授業では哲学的思考を鍛え、英語でのディベートも行う。生徒の多くが、世界のトップ大学へ進学しグローバルリーダーになることを目指している。

【田原】話を戻します。福原さんはIGSを通してグローバルリーダーを育てたいと言います。どうすれば本当のエリートを育てられますか。

【福原】まずは、答えが1つで5択から正解を選ぶというような大学入試を変えることからでしょう。具体的にはぜんぶ論述式にして、さらにテストを一発勝負ではなく、中学、高校時代に何をやったのかという積み重ねをすべて評価するような仕組みに変えていく。それによって現場も変わっていくかと。

【田原】ただ、仕組みを変えると現場の教師がついていけないという話もあります。かつてのゆとり教育が批判されていますが、狙いはよかったと僕は思う。総合学習の時間で生徒たちに主体的に学ばせるのだから、1つの答えを教える勉強よりずっといい。でも、小学生がパソコンを使って自分でいろいろ調べたりすると、教師のほうがついていけない。入試の仕組みを変えるだけだと、また同じことが起きる可能性もある。これはどうすればいい?

【福原】教師がなかなか変われないのであれば、教える人を教員免許を持っている人に限らなくてもいいのではないでしょうか。たとえば企業を定年退職した人や、子育てのために主婦になっている人が自分の得意分野について子どもたちと一緒に考えてあげるような環境ができれば、答えが1つだという教育も変わっていくはずです。

【田原】でも現状は、免許のない人は授業ができない。そこを変えるアプローチはしているのですか。

【福原】文部科学省の方々は入試制度の問題点や教員の質の問題に気がついていますし、実際に変えようとしているキャリアの方を何名か知っています。

ただ、仕組みが変わったら対応できないだろうという先生たちが何割かいらっしゃる。そこのバランスが変わっていかないと、難しいかもしれません。