このようななか、日系企業が提供するシェアオフィスも増えてきている。日系の不動産会社であるSTARATSが提供するYUZUNA HOTEL 4階のシェアオフィスは、1人~5人までの小スペースが、1300~2400ドル程度。オフィス家具、電話、fax、インターネット、コピー、会議室、応接室、リフレッシュルーム完備、清掃付。王子製紙や日系証券会社などが入居しており、人気だ。

KDDIが提供するパークロイヤルホテル隣の商業施設内にあるシェアオフィス。1人~6人までの小スペースが、1200~4400ドル程度。ITサポート付、電話、fax、インターネット(光ファイバー高速回線)、コピー、会議室、清掃付。こちらのシェアオフィスはインターネットの通信環境がミャンマー1良いと評判で、人気だ。

これらのシェアオフィスは、ミャンマー進出のスタートアップのためのオフィスとして、特に、中小企業の需要をうまく取り込んで成功している。

中国系、タイ系、シンガポール系のディベロッパーによる大型のコンドミニアム開発が急ピッチで進められている。

しかし依然として、オフィス用の箱不足解消の目途は立っていない。先般、三菱商事、三菱地所連合が、シンガポール系ディベロッパーと組んで、ヤンゴンで大型のランドマーク開発を行うことを発表した。商業施設、オフィスビル、コンドミニアムと大型の都市開発計画だ。完成までには数年かかる。

また、ミャンマーコンドミニアム法の早期成立を見込んで、現在ヤンゴンでは、中国系、タイ系、シンガポール系のディベロッパーによる大型のコンドミニアム開発が急ピッチで進められている。これらのコンドミニアムのほとんどが現在プレセール段階にあるが、これらの物件が市場に出回る来年度以降、オフィス賃料の相場の高騰も少し歯止めがかかる可能性もある。

以上述べてきたような賃料相場の高騰以外にも、進出検討の日本企業を悩ませる不動産取引慣行がある。ミャンマーでは保証金や敷金などはないが、家賃は1年分前払い(現金払い)で、原則3年契約(外国人は、不動産移転制限法上、建物賃貸借期間の上限は1年)、手付金概念がなく、外国勢で物件の取り合いになった場合は、その交渉の場で即、現金を積み上げた者勝ちの世界。日本勢は、韓国勢、中国勢に不動産獲得競争で、ことごとく負けている。現金を支出するための意思決定を、日本本社に打診して決裁を仰ぐなどしいている時間的な余裕など、今のミャンマーのビジネスにはないのだ。即決、即金の韓国勢、中国勢に、物件をさらわれ、事業計画の練り直しを迫られている日本企業が多い。