社外と同じように振る舞おう

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泣いている部下を前にしたとき、マネジャーがまず抱くのは「力になりたい」という思いのはずだ。職場の外で交流している相手に接するように、その部下に接しようと、バークスはアドバイスする。「泣いている相手に語りかける言葉と語りかける能力をわれわれはすでに持っている。だが、それを職場で行うにはどうすればよいかは理解していない」と、彼は言う。マネジャーがとる具体的な行動(ティッシュを差し出す、どうしたのかと尋ねる、外の風に当たってくるよう勧めるなど)は、その部下との人間関係やともに働いてきた年月、それに職場の文化によって決まる。重要なのは、その部下を無視したり批判したりするのではなく、案じる気持ちを示し、泣きたいだけ泣かせてやることだ。

涙の理由が明白なように感じられるときでも、それは本当の理由ではないことがある。部下が業績評価の面談ですすり泣きを始めたとしても、実は病気の母親のことで動揺しているのかもしれない。部下が感情を抑えきれなくなったとき、「事情を聞き出して、君の力になるにはどうすればよいかと尋ねるのはマネジャーの責務だ」と、クリーマーは言う。マネジャーは根本的な原因に行き着くような質問を穏やかに発することができなくてはいけない。「どうしたんだね?」とか、「ほかに何か話したいことはないかい?」などと問いかけてみよう。「セラピストになる必要はない。いつでも話を聞くよ、という姿勢を示すだけでよい」と、バークスは言う。同時に、部下との境界線を尊重しよう。彼は上司には打ち明けたくないと思っているかもしれないのだ。だが、気分を害してはならない。距離を置いて状況を観察したり、その部下と親しい別の部下に、事情を聞き出して力になってやってくれと頼んだりしよう。