バンドー化学 社長 
吉井満隆 

1958年、広島県生まれ。2003年Bando Europe GmbH社長、11年バンドー・ショルツ社長を経て、2013年より現職。

受講以前と以後の変化を尋ねると、吉井社長は読書量の増加とニュースを多角的に見る視点の獲得をあげる。多忙な日々のなかではどうしても読書時間は減少しがちだが、経営塾の課題を通じてハードカバーの書籍を読む面白さを改めて認識し、大前研一ライブやRTOCSなどの議論で物事を多角的に見ることの面白さと重要性に気付かされたという。

「大前経営塾では何か直接的に役立つスキルを得るというより、物事を考えるトレーニングをしたのだと思います。たとえば『ソフトバンクの企業買収について、あなたが孫正義社長の立場だったらどうするか?』といった課題が出され、限られた時間のなかでデータを調べ、多角的な視点から検討したうえで結論を導き、みんなで議論する。そんなトレーニングを積み、いまは業務のなかでも極力そのプロセスを踏むようにしています。大前塾長から問題提起されるテーマの多くはグローバルなものですから、広い視野も得られました」

社長に就任する前、吉井社長はリーダーとして中長期経営計画の作成に携わった。「Breakthroughs for the future」と題した2013年から22年までの中計は「ベルトおよび機能製品分野においてグローバルで『際立つ』サプライヤーになること」を目指すべき姿として掲げ、グローバル市場戦略の進化やものづくりの進化、新事業の創出など5つの指針を提示している。

なお、「Breakthroughs」と複数形になっているのは、従業員1人ひとりがブレークスルーすることで素晴らしい会社になるとの意味が込められている。

「中長計を策定するうえで、大前経営塾で物事を考えるトレーニングを積んだことはとても役立っています。今回の中長計は従業員1人ひとりをモチベートして組織を活性化し、技術力などの経営資源を極大化し企業価値を高めるガイドラインとして作りました。今後は中長計に掲げた目標を必達させていくことが、私に課せられた役割だと思っています」

本稿で取り上げた3人はGM、取締役、社長と役職の違いはあるが、視野を広げ、思考力を鍛え、事業のマネジメントに活かしている点で共通している。そうした経営者やマネジャーに必要なトレーニングを、時間と場所の制約なしに受講できるのが、大前経営塾のメリットである。

(宇佐美雅浩、森本真哉=撮影)
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