岩崎氏は消費税増税により、景気回復の途が絶たれるのではないかと心配する。バブル崩壊による不況下の97年4月1日、当時の橋本内閣は消費税率を3%から5%へ引き上げたが、結果的に税収は減り、景気が折れてデフレに陥りマイナス成長時代に突入していった。その轍を踏もうとしているのではないかと岩崎氏は懸念しているのである。

「それよりも日本企業を元気にすることを考えたほうがいい。11年(会計年度)にアップルが納めた法人税は6400億円(1ドル=77円で換算)です。これに従業員や関連会社、下請け会社などが納める税金を加えると、日本の消費税1%相当になる。もしアップルのような会社が日本に5社あれば消費税を10%に引き上げる必要はないのです」(岩崎氏)

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図11 政府債務対GDP比200%超え

11年度の政府債務は、対GDP比206%となり、戦後すぐと同じ水準に膨れ上がっている(図11)。15年から20年に経常収支が赤字に転落する可能性がある。また16年から17年にかけて個人金融資産残高が国債残高を下回る可能性が指摘されている。歯車が逆に回り始めると金利が急上昇してインフレになり、急速な円安が進行して「国としては非常にまずいことになる」(岩崎氏)。

薄氷を踏む状態が続く日本経済。1番心配なのは資産の置き場所である。

「現金、債券、株式というような多様な資産に分散投資して万が一に備えるべき」と山崎氏はいう。そして円安と金利上昇が同時に始まったら危険なサインと見なして、金などの実物資産か新興国通貨など、その時点でのベストな選択を考える。

「例えば1ドル=100円を超える円安となり、長期金利が3%を超えるような状況が見えてきたときに動けばいい。インフレにしても金利にしても一夜にして7%、8%になることはあまりないはずなので動く時間はある」

5項目にわたって、老後不安の正体を明らかにしてきた。得体の知れないものに対して闇雲に不安になっても仕方がない。必要額を具体的な数字に落とし込むなど、現実から目を逸らさない姿勢が、悲惨な老後を遠ざけるはずである。

インフィニティ代表
岩崎日出俊

1953年生まれ。日本興業銀行、J.P. モルガンなどを経て現職。著書に『定年後 年金前』など。

経済評論家
山崎 元

1958年生まれ。12回の転職を経て現職。専門は資産運用。著書に『お金とつきあう7つの原則』など。
(向井 渉=撮影)
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