若い世代にも「老後心配性」は多い。しかし、実態がわからないものに不安になるのはナンセンスである。その正体を見据えながら今できることを考えてみよう。

年金問題、医療・介護問題、再雇用・再就職問題は、日本経済の行く末と深く関わっている。日本経済が衰退に向かうのであれば、現役世代の老後は、現段階の予測よりも一段厳しく見ておかなければならないし、活気を取り戻して成長軌道に乗せることができれば問題の多くの部分が解決に向かう。

経済評論家の山崎元氏は「じっくりと老いぼれていく」と予測する。「対外資産のような過去の蓄積は厚いし、個人金融資産も1400兆円ある。巨額の財政赤字を抱えているとはいえ、すぐに破綻するとかハイパーインフレが起こる状況ではないからです」。

老後のお金に詳しい経営コンサルタントの岩崎日出俊氏も「悲観することはない」という立場。「ドイツの2倍近い国力を持つ経済大国であることは間違いない。現状は80年代、90年代の貯金で食べている面もあるけれど、経常収支は黒字を維持している。だから世界に国力を評価され、これだけ国債を乱発しても為替相場は円高に向かっている」。

日本が1、2年のうちにギリシャのような破綻状態に陥ることは考えにくい。ただ中長期的には楽観できる状態ではない。「気になるのは日本企業の競争力が目立って落ちてきたことです。以前ならトヨタやホンダ、ソニー、パナソニック、東芝といったリーディングカンパニーが世界市場を牽引していた。ところが今は勢いを失っている。日本企業が価値あるモノをつくれなくなったことが1番の問題」(岩崎氏)。そのためソニーやパナソニックはサムスンとの競争に敗れてテレビ事業から撤退しようとしている。トヨタは主戦場の米国市場でフォルクスワーゲンやヒュンダイに押されている。日本が得意とした携帯電話市場もスマートフォン時代になってアップルとサムスンに占拠されてしまった。