友達の影響で人種差別問題が自分事に

【寺田くん】SDGsは高校で、英語の長文問題に出てきて知りました。大学では、僕は専門が国際政治なので割としっかり学んだのですが、同世代や高校生には知らない人も多いんじゃないかな。高校生にSDGsを教える出張授業をやった時は、意外と皆知りませんでした。

【遠山くん】僕は大学1・2年の授業で教えてもらいました。正直、自分はそれほど興味が持てなかったんですが、こうした取り組みをしている企業にはクリーンなイメージを持つようになりました。

【原田】程度の差はあれ、皆SDGsが何かということは大雑把には知っているんだね。じゃあ、SDGsには途上国支援やエネルギー問題、経済成長、環境問題など17の目標があるんだけど、このうち特に興味があったり、身近に感じたりするものはどれかな?

【富山くん】10番目の「人や国の不平等をなくそう」には特に注目していて、自分なりに調べたりしています。最近だと、アフリカ系アメリカ人への警察の暴力に抗議する「ブラック・ライヴズ・マター」や、香港の民主化運動が気になっています。SDGsに関係なく、命や人権の不平等はおかしいと思うから。

【原田】日本でも本当は国籍や人種に関する問題があると思いますが、見た目である肌の色が明確に違うアメリカの今の人種問題に比べると、一般的に見えにくいと言われています。何がきっかけで注目するようになったのかな?

【富山くん】高校の時に黒人の友達がいたんですよ。彼からは差別の話もたくさん聞いたので、そのおかげで、少しだけかもしれないけど自分ごと化して考えられるようになった気がします。こういう問題を考える上で、当事者の立場にある友達の存在はかなり大きいと思います。

帰国子女や海外の友人に刺激を受けることも

【鈴木さん】私も友達の影響が大きいですね。高校では3分の1が帰国子女で、消費や環境の問題に関心の高い子が多かったんですよ。服のサステナブルな消費や、海洋動物の保護などを呼びかける活動をしている友達もいて、彼女たちの影響で「私も意識しなきゃいけないんだな」って思うようになりました。だから、12番目の「つくる責任 つかう責任」や、14・15番目の環境問題は特に気になっています。

【原田】身近に当事者や活動している人がいると関心も高まるんだね。遠山くんはアメリカに留学していたそうだけど、日本と比べて向こうの若者はどうだった? やっぱりSDGsに関する意識も高いのかな。

【遠山くん】僕がいたロサンゼルスでは、人種問題に関心のある子が多かったです。ブラック・ライヴズ・マターでも、ルームメイトは抗議の電話をしたりしていました。その意味では日本より先進的だと感じましたね。ただ、アメリカ全体が先進的なのかどうかはわからない。僕は若者の生活圏の中だけで暮らしていたから、大人はまた違うのかもしれません。

【原田】僕はニューヨークとロスで定期的にジェネレーションZにインタビュー調査を行なっています。数年前にインタビューしたヒスパニック系の一流大学に通っている学生が、シリコンバレーにあるIT企業のインターンの面接に行った時、「アメリカのIT企業はほとんどが白人の世界だから、ヒスパニック系だと絶対に受からないよ」とはっきり言われて落とされたと凄くショックを受けていました。

アメリカは先進的な面がある一方で、日本以上に様々な大きな問題を抱えている国でもあるよね。でも、その優秀な学生は、差別が比較的に少ない日本で起業したいと言っていたから、人口減少に苦しみ、良質な移民が国力として必要になっている日本にとってはチャンスかもしれないね。