「アクティブ・レスト」は
アスリートたちの経験知

毎日の疲労を蓄積しないよう、より効果的に、効率的に休養する──その後押しとなるのが「アクティブ・レスト」だ。そこには、運動と休養の意外な関係がある。

「アクティブ・レストは『積極的休養』と訳されます。簡単にいえば、横になったりして完全に休むのではなく、むしろ体を動かして疲れを軽減するのです。もともとアスリートの世界に普及した方法で、彼らは練習計画でハードな日、軽めの日、そして休養日を設定しますが、休日にも適度にカラダをほぐすような運動を行います。なぜなら、そのほうが疲労回復が早い。これは経験的によく知られてきたことなのです」

この方法はビジネスパーソンの日常にも、十分に応用可能だ。

「手軽で安全なものの代表例は、ストレッチングやウォーキング。あるいはプールを利用するなら、たとえ泳がなくても、水に浸かっているだけで一定の効果を感じるでしょう。運動不足の人が唐突に過激なランニングを始めるようなことは、危険なのでくれぐれも控えてください」

アクティブ・レストの狙いは、全身の血行をよくすることと筋肉のケア。軽めの有酸素運動で呼吸循環器系を活発化し、疲労回復を早めるのだ。例えば自宅の風呂に浸かることでも全身に圧力がかかり、筋肉を刺激して血行がよくなる。その血行とは、主に静脈血の流れ。静脈自体にポンプの機能はないため、筋肉がほどよく動くことで血液は静脈を経て心臓へ戻るのである。また、勤務中に行えるストレッチングは図に示すとおり。決して小難しいポーズである必要はない。