「タタリ神」になってしまったきっかけ

はまっている人がとても多いのが「沼⑤パートナーとの関係」です。多くのお母さんと対話をしてきて、パートナーシップの悩みを抱えている人は7割ほどに及ぶのではないかと実感しています。

夫に対しての恨みが怨念のようになり、「私、『もののけ姫』でいう『タタリ神』になっているんです……」と言っていた人もいました。インパクトのある表現ですが、「わかる……」と思う人も多いかもしれませんね。

ここまで根深くなった恨みのきっかけとは、どんなものなのか? それは、掘り下げていくと、「産後」に行き着くことがほとんどです。

たとえば、産後の心身がつらい時期に「サンドイッチを買ってきて」と言ったのに、「面倒くさい」「家にあるものを食べなよ」と返されて取り合ってくれなかったことが恨みのきっかけになっていた人もいました。もし男性がこの本を読んでいたら、「え? そんなちょっとしたことで何十年も恨まれるの?」と震えあがるかもしれませんね。

でも、それほどまでに産後の女性の心身は疲弊しているのです。

深い沼にはまってしまった夫婦の末路

妻が「私は、今、絶対にあのサンドイッチしか食べられない! 買ってきてくれないと指一本動かせないっ!」などと言っていれば、ぎょっとするとは思いますが、「そ、そんなに言うなら今から行ってくるね」と多くのパートナーは買いに走るはずです。

岩田かおり『自分から学べる子になる 戦略的ほったらかし教育』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
岩田かおり『自分から学べる子になる 戦略的ほったらかし教育』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

また、少し時間が経ってしまっても、「じつはあのときのこと、私の中で“産後サンドイッチ事件”として結構恨んでいるんだよね。今日ケーキ買ってきてくれたらチャラにしてあげてもいいよ」などと言えていれば、そこまで深い恨みとして残らないでしょう。

パートナーにきちんと伝えずにずっと思いを握りしめ、その結果恨みが大きくなったものが、『タタリ神』の正体です。

中には、「夫と一緒に暮らしているけれど、まったく口をききません」「スキンシップなんて無理です」と言う人もいました。「おはよう」や「おかえり」も言わないそうです。

朝ごはんなどは一緒に食べますが、事務連絡をしなければならないときは「○○ちゃん、お父さんに△△って言っておいて」と子どもを介して伝えるとのことです。

こういった家庭の状況では、親も子も心が落ち着きませんよね。

私は「離婚をするな」と言っているわけではありません。

もちろん、それも一つの選択です。離婚することが、沼から脱出する唯一の方法になることもあるでしょう。

しかし、もし今後もパートナーと暮らしていくのならば、向き合って話をすることは不可欠です。そうしなければ、この泥沼からはいつまでたっても抜けられません。