「何回言ったらわかるの?」は過干渉のサイン
私は家庭教育コンサルタントとしてこれまで8000人以上の親御さんの相談に乗ってきましたが、とくに多くのお母さんが口に出してしまうのがこれらの言葉です。
「何回言ったらわかるの?」
「この前も言ったよね?」
この言葉が出た時点で、「過干渉」になっている可能性が高いといえます。
ほとんどのお母さんが、「いちいち口出ししちゃいけない」「司令官になっていろいろ指示しちゃまずい」と、頭ではわかってはいるんです。でも、つい先回りしてしまう自分に悩んでいるんですよね。
よく耳を傾けてみると、本人は過干渉のつもりがなくても、実際には1から10まで全部言っていることがとても多い。このことに、自分自身で気づくのは難しいものです。
そんなときに自分の「過干渉」度に気づくフレーズが前述した「何回言ったらわかるの?」「この前も言ったよね?」なんです。あと、「これ言うの4度目だよ」と数をカウントし始めたらもっと危険です(笑)。「この3つのフレーズが出たときは、過干渉に気づくタイミング」というお作法にしておくといいでしょう。
子どもなんて失敗すればいいし、困ればいい
なぜ、何度も言ってしまうのでしょうか。背景には、親御さんの心の中に、「子どもが困らないように」という思いがちょっと強めにあるから。私はそう分析しています。
「子どもが学校で困らないように」と思うと、やっぱり「いちいち言わないと」って思ってしまいます。「困らないでほしい」という親心なんですよね。だから先回りして「水筒持った?」「体操服忘れてない?」なんて1つずつ点呼確認のようなことになるのです。
でも、私がそうした親御さんたちに声を大にしてお伝えしたいのは、「子どもなんて失敗すればいい」「困ればいい」ということ。
私は3人の子育てをしてきましたが、本当にそう思いながらやっていたんです。子どもが水筒を忘れても、「喉が渇いて困れば、次は忘れないように自分で工夫するようになるだろう」って。体操服を忘れて本当に恥ずかしい思い、困った経験をしたら、「次から持っていくための仕組みを自分で考えるだろう」って。
それが自分で生み出す「学び」なんです。
だから、「失敗すればいい」「困ればいい」と「ほったらかし」をしたのです。
もちろん第一子のときから、「失敗すればいい」「困ればいい」と思えたわけではないです。2人目、3人目と経験を積むうちに「ゆるまった」というか、覚悟が決まった感じです。
1人目でもまあまあゆるかったとは思いますが(笑)、以降はどんどんゆるく「ほったらかし」になりました。
それが功を奏して、主体的に自分のことを考える子に育ったと思っています。3人目の次女は、この夏、日本の高校を中退して、経団連の奨学金をいただいて、インドに留学中です。母親の私も驚く大胆な選択は、次女が自分で決めたこと。彼女の話を聞いて、しっかり自分で考えていることがわかり、認めたのです。


