「もう限界」。子育てで爆発する前に親はどんなメンタルコントロールをするといいのか。「戦略的ほったらかし」のメソッドで8000人超の保護者の相談を受けてきた家庭教育コンサルタントの岩田かおりさんは「過干渉気味の子育てをしてしまう方に実践してほしい、子供への声かけ述と自分ケアの方法がある」という――。(構成=ディスカヴァー編集部)
正座して子供の視線と合わせ、しかっている母親
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです

「何回言ったらわかるの?」は過干渉のサイン

私は家庭教育コンサルタントとしてこれまで8000人以上の親御さんの相談に乗ってきましたが、とくに多くのお母さんが口に出してしまうのがこれらの言葉です。

「何回言ったらわかるの?」
「この前も言ったよね?」

この言葉が出た時点で、「過干渉」になっている可能性が高いといえます。

ほとんどのお母さんが、「いちいち口出ししちゃいけない」「司令官になっていろいろ指示しちゃまずい」と、頭ではわかってはいるんです。でも、つい先回りしてしまう自分に悩んでいるんですよね。

よく耳を傾けてみると、本人は過干渉のつもりがなくても、実際には1から10まで全部言っていることがとても多い。このことに、自分自身で気づくのは難しいものです。

そんなときに自分の「過干渉」度に気づくフレーズが前述した「何回言ったらわかるの?」「この前も言ったよね?」なんです。あと、「これ言うの4度目だよ」と数をカウントし始めたらもっと危険です(笑)。「この3つのフレーズが出たときは、過干渉に気づくタイミング」というお作法にしておくといいでしょう。

子どもなんて失敗すればいいし、困ればいい

なぜ、何度も言ってしまうのでしょうか。背景には、親御さんの心の中に、「子どもが困らないように」という思いがちょっと強めにあるから。私はそう分析しています。

「子どもが学校で困らないように」と思うと、やっぱり「いちいち言わないと」って思ってしまいます。「困らないでほしい」という親心なんですよね。だから先回りして「水筒持った?」「体操服忘れてない?」なんて1つずつ点呼確認のようなことになるのです。

でも、私がそうした親御さんたちに声を大にしてお伝えしたいのは、「子どもなんて失敗すればいい」「困ればいい」ということ。

私は3人の子育てをしてきましたが、本当にそう思いながらやっていたんです。子どもが水筒を忘れても、「喉が渇いて困れば、次は忘れないように自分で工夫するようになるだろう」って。体操服を忘れて本当に恥ずかしい思い、困った経験をしたら、「次から持っていくための仕組みを自分で考えるだろう」って。

それが自分で生み出す「学び」なんです。

だから、「失敗すればいい」「困ればいい」と「ほったらかし」をしたのです。

もちろん第一子のときから、「失敗すればいい」「困ればいい」と思えたわけではないです。2人目、3人目と経験を積むうちに「ゆるまった」というか、覚悟が決まった感じです。

1人目でもまあまあゆるかったとは思いますが(笑)、以降はどんどんゆるく「ほったらかし」になりました。

それが功を奏して、主体的に自分のことを考える子に育ったと思っています。3人目の次女は、この夏、日本の高校を中退して、経団連の奨学金をいただいて、インドに留学中です。母親の私も驚く大胆な選択は、次女が自分で決めたこと。彼女の話を聞いて、しっかり自分で考えていることがわかり、認めたのです。