× ただほったらかす ◎「戦略的」にほったらかす

とはいえ、子どものすべてを「失敗すればいい」「困ればいい」と放置するだけだと、それは「単なるほったらかし」です。私が子育てで実践してきたのは、「戦略的ほったらかし」です。作戦なんです。これにはポイントが2つあります。

1つ目は、「重要なことと些細なことを明確に分けること」。

私の場合、子どもに対して「これはどうでもいいけど、ここはちゃんとしてほしい」というラインを明確にしました。例えば、学校へ提出するプリントはちゃんとする。「ランドセルのこのポケットに入れておくから、必要な時は出して」と保存する場所を決めておく。そして「提出類のプリントはちゃんとしてほしい」と念押しします。親としては同じ社会人である学校の先生にご迷惑をかけてはいけない。そういう大人の考えゆえの判断です。

一方で、水筒を忘れても、ハンカチがなくてズボンで手を拭いても、それは「どうでもいいこと」。忘れていっても「あら、そう」で終わり。完全に子どもたちにまかせてほったらかしでした。

重要なことと些細なことを、親もちゃんと分けることが大切なんですが、そのためには親自身が優先順位付けをして、そのうえで子どもに伝えるといいと思うのです。

怒ると、本当に大切なことが伝わらない

2つ目のポイントは「怒りながら言わないこと」。

私がむやみやたらにガミガミ言わないからこそ、本当に重要なことが伝わりやすい関係性を築けたんですよね。もし、「怒りながら何度も同じことを言っている」と、どうなるか。会社の上司と部下の関係でも、怒りながら次から次へと言ってくる上司の話って、こちらも防衛本能が働くのか適度にスルーして100%頭に入ってきませんよね。

「ああ、この人、怒っているなぁ」「怒らせちゃったなぁ」という印象だけが残り、萎縮してしまって肝心の内容は右から左に抜けてしまいます。これ、子どもも同じなんです。

廊下に座り込んで、息子をしかりつけている母親
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怒りが強くなればなるほど、子どもの頭の中には入っていかくなるんです。つまり、伝わらないのは「子ども」のせいではなく、「親の伝え方・話し方に問題あり」ということ。

職場で同じことを何度も繰り返し怒鳴ったりはしないはずなのに、親子だとやってしまう。ここに気づくことがとても重要です。

ただ、冷静に伝えても子供が実行してくれない時もあります。そんな時は、子どもに紙に書いて渡すこともありました。小学生の子供に「口で言ってもわからないよね。ちょっと要点まとめて、紙に書いてちゃんと伝えるわ」と言って。そうすると、子供も「なんだなんだ」という感じで、メモを読むんですね。そうすると意思や気持ちを理解してくれる。そういう現象を経験すると、やっぱり「怒って何度も言う」というのは、「重要なことを伝える」という観点からするとまずい。というか、親が声を荒らげてエネルギー使うだけ損なんです。