3つの原則を忘れてはならない

「傾聴・承認・質問」の3つの基本スキルを使ううえで、重要な原則が3つあります。

1つ目は「個別性(十人十色)」を忘れないこと。子どもは一人ひとりみんな違います。同じアプローチが、すべての子に通用するわけではありません。兄弟姉妹でも性格や好みは変わります。その子に合った関わり方を、試行錯誤しながら見つけていく必要があるのです。

ここで大切なのは、ポジティブな関わりを意識的に増やすこと。叱ったり注意したりする場面は2〜3割程度に抑え、残りの7〜8割は褒めたり認めたりする時間に。この比率を意識するだけでも、子どもとの関係は良い方向に変わってくるはずです。

2つ目は「双方向性」です。一方的に教え込むのではなく、子どもとの対話を繰り返すこと。例えば、何か悪いことをしたときも、頭ごなしに叱るのではなく、「なぜそうしたの?」と理由を聞く姿勢を保つこと。問いかけ、考えることで子どもは何が悪かったかについて深掘りできるようになります。

3つ目が「継続性」。ときに感情的に怒ってしまったり、子どもからウソをつかれてしまってショックを受けたり……、キッズコーチにも子どもたちとの関係性を維持し続ける気力が萎えてしまい、「もういいや……」と落ち込む瞬間があります。でも、翌日もその翌日も来週も来月も、1年後も子どもたちとの放課後時間は続きます。落ち込んだときは視座を高くして、長期的に関係性を捉えましょう。

「話をしっかり聴く」意識を持つ

親子関係のよい点は、仕事が忙しくて子どもとの関係がうまくいかない場面があっても、夫婦間のイライラを子どもに感情的にぶつけてしまうようなことがあっても、それを修復するチャンスがいくらでもあるところです。

いつも泰然自若たいぜんじじゃくとしている完璧な親などいません。小学校高学年になり、反抗期に入ってくると子どももひどい言葉をぶつけてきます。親も失敗するけど、子もしくじる。それでも親子だから子育てしながら、親初心者から経験者へと成長していける。失敗と修復を繰り返しながら、親も子も一緒に成長していくことができるのです。

テーブルに母子
写真=iStock.com/Milatas
※写真はイメージです

個別性、双方向性、継続性。この3つを意識して、「傾聴・承認・質問」を心がけていくと、日々のコミュニケーションの中で子どもの自己肯定感、自尊感情が育まれます。ありのままの自分らしい個性をポジティブに受け止める自己肯定感と、自分を価値ある存在だと感じられる自尊感情は、人間力の土台となる大切な感覚です。この2つを育む意味でも、「子どもの話をしっかり聴いてみよう」という意識を持って接していきましょう。