宿題や片付けをしたがらない子供に、どんな声をかければいいのか。『子どもの人生が変わる放課後時間の使い方』(講談社)を書いた島根太郎さんは「子供に命令しても意味がない。親が先回りして行動を促しても反発されるだけだ。本人のやる気を引き出す、おすすめの問いかけがある」という――。(第1回)
新緑の公園で若い日本人家族
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“何気ないやりとり”が信頼に影響する

あなたも自分のお子さんと、こんなやりとりをしたことがありませんか?

・「今日ね、学校でね……」と子どもが話しかけてきたとき、社内チャットで急ぎの返信をするため、スマホから目を離さず「うん、うん」と応えてしまった。
・料理の最中だったのでフライパンに目を向けたまま、「今さ、忙しいから後にしてくれる」と話を切り上げてしまった。

大人サイドからすると悪気のない対応です。でも、こうした何気ない日常の積み重ねが、実は子どもとの信頼関係に大きく影響しているのです。

私たちの学童保育の指導員(以下、キッズコーチ)が大切にしているコーチングの基本スキルは、「傾聴・承認・質問」の3つに集約されます。なかでも、子どもと信頼関係を築く入り口となるのが「傾聴」です。

傾聴とは、単に話を「聞く」のではなく、しっかりと「聴く」こと。目線を合わせ、相手の言葉に耳を傾け、その思いを受け止める。心理カウンセラーや看護師、キャリアカウンセラーなど、人と接する業務のプロたちは傾聴に関する教育を受け、日々の仕事にその技術を活かしています。

「承認」の積み重ねや「問いかけ」も大事

キッズコーチも同様で、子どもから話しかけられたら聴くモードに入ります。なぜなら大人にとっては些細な出来事でも、子どもにとっては大切な話かもしれないからです。話を十分に聴いてもらえた、受け止めてもらえたという感覚は、子どもでも大人でも相手への好感と信頼に変わっていきます。

次の「承認」は、相手の存在や行動の本質を理解して認めること。例えば、テストで100点を取ったときだけでなく、仮に点数がいまいちでも机に向かって頑張ろうとしていた姿勢、新しい勉強にチャレンジした勇気を認めていく。もちろん、いい結果が出たときは「結果そのもの」に加えて、結果にいたる過程にも目を向け、褒めていく。そうした細やかな承認の積み重ねが、物事に取り組む子どものモチベーションや自信につながっていきます。

最後の「質問」は答えを教えずに、子ども自身の気づきを促すためのもの。たとえ教えたほうが早くても、あえて「どうしたらいいと思う?」と問いかけていきます。大事なことなので何度も書きますが、子どもたちが自分で考え、答えを見つけ出していく経験は、主体性、思考力、判断力など本人の人間力を育んでくれるからです。