管理型教育から主体的な学びを大切にする教育へ

教員主導の管理型教育から、生徒の主体的な学びを保証する次世代型の教育へ。そう考えて始めたのが、2002年から続く「聖光塾」です。

聖光塾は、中1から高2までの生徒が、長期休業期間を中心に1日〜数日間かけて行う、任意参加の講座です。「塾」といっても補習のための講座ではなく、リベラルアーツ、いわゆる一般教養を身に付けることを目的としています。

2024年度に実施した講座を挙げると、横浜市内の里山に分け入り、五感をフルに使って自然観察を行う「里山の自然」、プロのドローンクリエイターから学ぶ「ドローンで作る映像表現」、鹿島槍ヶ岳の大自然で魚と格闘する「フライフィッシング」など、本当に多種多様です。外部講師を招くことで、学校だけではできない体験を提供することができています。

生徒に学びの天井をつくらない

実施に当たっては、可能な限り開講数を増やし、多彩な内容となるよう工夫しています。それは、生徒に学びの天井をつくらないことが大切だと考えているからです。

何に好奇心が刺激されるのかは、生徒によって異なります。ですから、できるだけ多くの選択肢を用意して、生徒が自分のアンテナに引っかかるものに出会い、自分の興味・関心を広げていけるように図っていきたいと考えています。

好奇心が刺激されることで、後に続く学習やさまざまな活動に対する意欲を引き出すことができます。また、義務感から勉強するのではなく、興味や関心をもち、面白そうだ、やってみたいと思える範囲が広がっていく効果があるのです。

例えば、サイクリングの講座に参加して鎌倉の街を一日自転車で回ったのをきっかけに、地図や地形に興味をもち、地理の学習に関心を深めていく生徒もいます。その子なりに興味関心を広げているうちに、教科学習と接続する部分が出てくることは少なくありません。リベラルアーツの力は、彼らが後に経験する大学受験や、その先の学びにも活きてくるのです。