中高生男子はとても繊細

「昨日はニコニコと楽しそうに話をしていたのに、今日は仏頂面で、こちらが話しかけてもうんともすんとも言わない。いったいどうなっているの?」

そんな保護者の声をよく聞きます。気分だけでなく、言うこともちょくちょく変わるので、日々付き合う親としては大変です。彼らとしても、もちろんわざとやっているわけではありません。

体と同様、心も急成長する時期ですから、日々考えていることや物事の感じ方がどんどん変化しています。また、自我を確立する途上にありますから、ちょっとした周囲の言動にも傷つきやすく、とても繊細です。

そんな中高生男子は相当な天邪鬼といえます。周囲に反発して1人になりたがるような素振りを見せていたとしても、実際の心の中は孤独なことが大半です。

そんな彼らに対して、無理に本音を聞き出そうとしたり、出てきた言葉を否定したりすることがないよう気をつけてください。本人が言わないことについてはそっとしておく配慮をもってあげると良いでしょう。

親は「待つ」姿勢を心がけよう

工藤誠一『VUCA時代を生き抜く力も学力も身に付く 男子が中高6年間でやっておきたいこと』(KADOKAWA)
工藤誠一『VUCA時代を生き抜く力も学力も身に付く 男子が中高6年間でやっておきたいこと』(KADOKAWA)

この時期の子どもと向き合うには、とにかく「待つ」姿勢が大切です。

とはいえ、これだけ忙しい現代にあって、待つことは至難の業かもしれませんが……。親が心の余裕をもつための処方箋として、私がおすすめしたいのは、ご自身の教養を高めることです。芸術などに触れ、自分だけの楽しめる世界をもつことで心に余裕が生まれます。

もう1つは、「足るを知る」ことです。我が子にこうあってほしいという願いには際限がないかと思います。

「欲を言えばいろいろあるけれど、うちの子はよくやっているよ」と思えるぐらいのほうが、何かとうまくいくものです。

天邪鬼の彼らも、あと数年すれば見違えるような青年になって巣立っていきます。その日までの時間は意外とあっという間です。ぜひ大切に味わっていただきたいと思います。