不登校になる小中学生が増えている。子どもが学校に行きたがらない時、親はどうすればいいのか。小学生の長女が不登校になった経験を持つ精神科医さわさんは「不登校は決して逃げではない。『不登校=よくないこと』という常識を手放して、必要以上に不安になることをやめたほうがいい」という――。
靴が合わなければ、変えればいい
以前、オーストラリアの幼稚園で勤務する友人がこんなことを言っていました。
「学校は靴みたいなもの。日本の学校はワンサイズしかない革靴に無理やり子どもたちの足を合わせようとしている」
衝撃的でした。でも実際そうかもしれない、とも。靴が合わなかったら、違う靴を探せばいいだけなのに、先生も親もなんとかそこに合わせようと必死になっている。合わない自分はダメなんじゃないかと思わされてしまう。
靴が合わなければ、変えればいい。それでも合わなければ裸足だっていい。何より大事なのは自分の足を(心を)大切に守ること。
それなのに、「靴に合わないあなたがダメ」のように、不必要な劣等感を感じさせる日本の教育にときどき違和感を持つ。
「合わない靴に無理やり自分の足を合わせる必要なんてない。靴ずれをおこしているのに、傷だらけの足になっているのに、まだそれでも靴を履かせる必要ってある? 人生を歩くのは靴じゃなくて、自分の足」
これが、私が「不登校は逃げではない」と考える理由の1つです。
「学校に行くこと」よりも大切なこと
わたしは普段、5歳以上の子どもから大人までを診療するクリニックの院長をしています。若い子だと、小学校高学年くらいの子どもが「生きるのがしんどい、消えたい」と話してくれることがあります。
でも、まず考えてほしいのです。「学校に行けない=ダメなこと」なのでしょうか。「学校に行けないことは失敗」なのでしょうか。そんなことは、ありません。
これは、私が精神科医であるだけでなく、一人の大人として、小学校や中学校、高校時代も、1つの点に過ぎなく、人生は学校に行けるか、行けないかだけで決まるものではないと思うからでもあります。