「ひー君はね、天皇になることへの葛藤があったよ」

こうした出来事があったことから、皇族会議において、悠仁親王の皇籍離脱が認められ、それが愛子内親王の天皇即位に結びつくことになる。小説のなかで、愛子天皇はのちに、「ひー君(悠仁)はね、はたから見てても『天皇になること』への葛藤があったよ。もう、葛藤している時点でなれない。だからあたしが手を差し出したってだけで、正直あたしは天皇になってもならなくてもどっちでも良かったんだよ」(同書より)と語ったということになっている。

そこで、愛子天皇が自らと悠仁親王の違いを、「帝王学」を受けているかどうかに求めている点は、興味深いところである。自分にとって叔父にあたる秋篠宮文仁皇嗣こうし(皇位継承順位第1位の皇族)は、自らも帝王学を受けていないので、それを子である悠仁親王に行うことにためらいがあった。ところが、愛子天皇の父である現在の天皇は、自分もそうであったように、「そういう教育しかできなかった」というのである。