空港へ「見送りにはいかない」理由

ある意味、大崎さんの60代前半は、「自分の元には戻ってこない娘」という現実を、受け入れなければいけない葛藤の日々でもあったという。覚悟を決めてからも、心は揺れた。

「最初の頃は、日本を発つときは? 成田まで送って行ったんですよ。荷物を持って、一緒に。娘がゲートに入っていくと私はいつも涙が出る。そんな顔は見せられないけど、でもギリギリまで背中は見ていたいから、彼女がパッと後ろを向く直前に、私はダーッと走るんです。これで、しばらく会えないって、帰りは涙、涙で。寂しくなっちゃうから、そのうち見送りはやめちゃった」