注目すべきは大学「進学実数」

学校側が打ち出している、各種資料に掲載されている「大学合格者数」が「のべ合格者数」であるのか「進学者実数」であるのかをまずは見極めましょう。「のべ合格者数」は、たとえば優秀な卒業生五名が早稲田大学・慶應義塾大学にそれぞれ六学部合格したとした場合に、「早慶三〇名合格!」などと謳うことです。

矢野耕平『中学受験のリアル マンガでわかる 志望校への合格マップ』(KADOKAWA)
矢野耕平『中学受験のリアル マンガでわかる 志望校への合格マップ』(KADOKAWA)

学校によってはこの手法を用い合格実績を「かさ上げ」している場合がよくあるのです。しかも、各々打ち込みたい学問を見出せず、とりあえずさまざまな学部を受ける、あるいは受けさせるというのもどうかと思います。

そう考えると、信用できる数値は「進学者実数」です。つまり、どの大学に何名が進学したのかを表したものです。これはごまかせないものです。こういう「進学者実数」を公表する学校は近年増えてきたように感じていますし、これをしっかりと数値化して外に打ち出す学校は「大学進学」という側面において評価できるところだと言えるでしょう。

わたしは中学受験生の保護者によくこんな話をしています。

「わが子がその学校でトップレベルになれるとは考えず、仮に真ん中くらいの成績なら、どのレベルの大学に進学しているのかを『進学者実数』から推し量りましょう」

これは進学者実数を公表している学校でないと推測できないものですが、わが子の進路を現実的に考えるうえでは有用な見方でしょう。話を戻しますが、あれやこれやで合格者数をよく見せようとする学校は依然として見られます。いわゆる中堅どころの進学校はそういう傾向にあるところが多いように感じています。

先ほど申し上げましたが、少数の優秀生に同じ一流大学に何学部も受験するよう指示を出すところもありますし、理系志望なのにもかかわらず、それだと「ブランドのある大学」に合格できないと判断し、無理やり文系に転じるよう指導するところもあると聞いています。

また、「特進クラス」のようなところに入ると、本人の意思に関係なく、国公立大学受験を義務付けられることもあります。地方の特定の公立大学の合格者数がやたらと膨らんでいるようなところは要注意です。

最後に、その学校から進学した大学の学部が公表されているとより良いですよね。文系学部に強いのか、あるいは、理系学部か……。芸術系学部にはいかほど進学していて、医学部医学科はどうなのか……。こういう細かなところに目を向けると、その学校の進路指導方針や教育内容が透けて見えてくると考えます。