コントロールしない「秩序」のつくりかた

【武田】ただ、秩序が大事というのは圧政でOKとか、何でもかんでも先生がコントロールしていいということではないです。一見、とっても自由に見える海外のオルタナティブスクールなどにも、秩序はあるんですよね。日本においては、許可制も含め「管理せねば・コントロールせねば」という思いや姿勢が、先生たち自身のことも、しんどくさせていると思います。

【勅使川原】許可を求めさせているのは先生なのに?

【武田】ジレンマですよね。自縄自縛というか。許可を求めさせて管理せねばというふうになって、管理しようと思うと、注意や指導や叱責が増える。もちろん子どももしんどいですが、先生たちも業務が増えるし、もちろん楽しくないですから……。こういうことは、すごくあると思います。

ちなみにトイレ問題で言うと、例えばオランダのイエナプランの学校は、トイレの個室が三つだったら、おもちゃのネックレスみたいなものが壁に三つ掛かっていて、それを首にかけてトイレに行き、帰ってきてネックレスを戻す……となっていました。

本来の目的を見直す

【武田】日本でも、似た方法を取り入れている先生はいるんです。

私の知り合いで、自由進度学習や『学び合い』を実践している豊田哲雄さんという小学校の先生がいるんですが、課題が終わっているかどうかを把握するのに子どもの名前のマグネットとホワイトボードを使っているんですね。

真ん中に線が引いてあり、最初は全員分のマグネットが左側に貼ってあり、終わった子は自分のマグネットを右側に移動させる、みたいな使い方なんですが。そのボードの端っこにトイレゾーンをつくり、トイレに行く人は自分の磁石をトイレゾーンに置く。そんな感じで、別に言わなくていいようにしていましたね。

【勅使川原】クラスみんなに聞こえる声で言わせるのとか、ちょっとしたお仕置きですものね。休み時間に行かなかった罰かのように、恥ずかしいことをさせて行かせる。

【武田】確かに辱めのように感じる子も絶対いますよね。ちなみに、豊田さんはホワイトボードのトイレゾーンにはトイレマークとかじゃなくて、水に吸いこまれていくスパイダーマンのシールを貼っていて……配慮とユーモアがあると思いました(笑)。

でも、許可をとらせたり申告させてる先生たちも、お仕置きしているつもりは全くないと思いますよ。

【勅使川原】あら、見せしめなのかと思ってた。そうではないんですね。

【武田】ないと思いますよ。ただの安全管理だと思います。だから、「それ(黒板に貼って行く)でよくない?」となったら、それでいいとなる場合も多いと思います。