「ほめる教育」の中では育ちにくい
衝動コントロール力を高めるには、思い通りにならないときも我慢できるように忍耐力を鍛える必要があるが、ほめる教育・叱らない教育がもてはやされる今日、それは非常に難しい。
これには家庭教育も深く関係しており、学校と家庭の連携が必要だが、子どもの心を鍛えてあげるという発想が乏しい親、子どもに甘い親が多く、子どもの心を鍛えることに対する保護者の理解がないといった声も教育現場でしばしば耳にする。保護者の意識を変えてほしいと頼まれることもあるが、なかなか一筋縄ではいかない。
自己肯定感を育むには、忍耐力を鍛え、衝動コントロール力を高める必要があるのだが、そのような力を鍛える教育的働きかけがしにくい時代なので、自分自身で忍耐力を鍛えなければならない時代なのだという自覚をもって日常を過ごす必要がある。
「できない自分」とどう向き合うか
②短所も未熟さも含めて自分を受け入れる
前向きに生きている人は自己受容ができている。
その意味で、自己受容は自己肯定感を育むための必要不可欠の条件と言える。
では、自己受容とはどのような心理状態をさすのだろうか。
自己受容を促進するために、本人ができることに着目させるというアプローチが取られたりする。できないことだらけで「自分はダメだ」と思い込んでいる子に「あなたはこれができるよね」とできることに目を向けさせ、自分の長所を自覚させることで自己受容を促そうというのである。それは間違いではないが、それだけでは十分でない。
なぜなら、だれにだってできないこともあるし、短所もあるからだ。
いくら頑張っても「できない自分」。自分なりにここはダメだなと思う「短所をもつ自分」。そういう面も含めて、自分を丸ごと受け入れるのが自己受容である。これがないと、「どうせ自分なんか」といじけてしまい、「もっとできるようになりたい」「短所を少しでも克服したい」といった向上心が湧いてこない。


