落ち込むのではなく、次に活かそうと考える
こうしてみると、自己肯定感を育むには、楽観的な認知の枠組みを身につけることが必要だということがわかる。
失敗を悔やみ落ち込むのでなく、つぎは失敗しないように頑張ろうと思うなど、失敗をつぎに活かすように考える。
友だちから嫌なことを言われても、落ち込むのでなく、相手にもいろいろ事情があり、心理状態も揺れ動いているのだというように、相手の要因に目を向けるようにする。
試験で失敗した子が、「自分は頭が悪い」と思えば落ち込むのも当然だ。でも、準備が不足していたと思えば、そこまで落ち込むことはないし、「よし、つぎこそちゃんと準備するぞ」と前向きになることもできる。前向きになれるかどうかは受け止め方しだいなのだ。
楽観的なものの見方が身についてくれば、自己肯定感が自然に高まり、否定的な出来事にいちいち傷つき落ち込むこともなくなるだろう。
「自分ならきっとできる」はどこから来るのか
④習慣形成によって自己効力感を高める
最近の子どもや若者の自己肯定感の低さには、自己効力感の低さが関係しているように思われる。「粘り強さがない」「すぐに諦める」といった心理傾向が指摘されるが、そこには自己効力感が絡んでいる。自分にできる気がしないのだ。
自己効力という概念の提唱者であるバンデューラは、期待を結果期待と効力期待に分けた。結果期待とは「こうすればうまくいく」という期待、効力期待とは「自分はその行動を取ることができる」という期待のことである。いわば、効力期待というのは、自分はそれができるという自信である。
たとえば、この問題集をマスターすれば試験で良い成績が取れるはず、毎日素振りをしっかりやれば試合に出られるはず、などといった期待が結果期待である。
このような期待があっても、必ずしもその行動を取れるとは限らない。大人だってそうだろう。こうすればダイエットに成功するはず、このような行動を毎日取れば成人病を防げるはずとわかっていても、なかなかそれができなかったりする。
そこで決め手となるのが効力期待だ。
この問題集をマスターすれば試験でうまくいくとわかっていても、「自分にはちょっと無理かなあ」と思う子はなかなかうまくいかないが、「自分はきっとできる」と思う子は高いモチベーションをもって継続的に取り組めるため、うまくいく可能性が高まる。

