教育現場で防止するのは困難
元教育長とのやり取りでわかったのは、採用段階で性暴力をしそうな教員を見抜いて排除するのは困難▽普段の研修で「性暴力だめ」と教員を指導しても効果に疑問、ということです。教育現場に防止策を求めるのは難しいようです。
取材中、元教育長が「性暴力に関与する教員はひと握りだ」と漏らしました。数字の上ではそれは正しい。2023年度に性暴力で懲戒処分を受けた320人は全体の0.03%です。
それがどうした。元教育長は暗に「大半はまとも」と言いたいようでしたが、これが性暴力を正面からとらえようとしない現場の感覚を示しているように思えてなりません。
警察の「再犯防止」の取り組み
ある警察幹部は「未然防止策の決め手はないが、警察官が学校を回って子どもに防犯指導する際、他人に触れさせてはいけない体の部分を教えることも考えたい」と話します。
教育委員会や学校との連携をもっと深めたいとも言います。
実は警察は、2005年から子どもへの性暴力を防ぐ取り組みを続けています。子どもを対象にした暴力的な性犯罪で服役した者について、出所予定日や出所後の帰住予定地情報を法務省から受け取り、それを基に再犯防止のため所在確認や面談をします。
奈良市の小学1年女児(当時7歳)が2004年11月、男に誘拐され殺された事件がきっかけです。すでに死刑が執行された男は事件前、性犯罪に関与していたのです。
対象者の社会復帰や更生を妨げないよう配慮しながらの取り組みで、効果のほどはよくわかりません。
しかも性犯罪の前歴者が対象なので、前歴のない加害者には役に立ちません。
異変を感じたら警察の窓口に相談を
お子さんの様子に異変を感じ、ひょっとしたらだれかに性暴力を受けたのかもと不安な保護者のみなさま、まずは警察に電話で相談してみませんか。#8103です。ダイヤルすると発信された地域を管轄する各都道府県警察の性犯罪被害相談電話窓口につながります。
子どもが被害者となる性暴力については近年、その実態に迫り、防止策を模索する本の出版が相次いでいます。いくつか紹介します。
『ルポ 子どもへの性暴力』(朝日新聞取材班、朝日新聞出版)※この本には相談窓口や情報サイトが掲載されています。
『性暴力を受けたわたしは、今日もその後を生きています。』(池田鮎美さん著、梨の木舎)

